【社説】海自基地空撮 ドローン攻撃の脅威に対処を

海上自衛隊の護衛艦「いずも」が横須賀基地に停泊しているところをドローンで空撮した動画が中国のSNSに投稿された問題は、現在、ウクライナの戦地でドローンが果たしている役割を踏まえれば現実的な脅威として対処する必要がある。不審なドローンを取り締まる法を整備し実行手段を備えるべきだ。

中国のSNSに動画投稿

横須賀基地は海自最大の基地であり、横須賀地方総監部が置かれ、司令部機能が集まっている。海自最大の護衛艦であるいずもは広い飛行甲板を備え、哨戒ヘリコプター複数を運用できるほか、航空自衛隊が導入するステルス戦闘機F35Bの搭載も可能にする計画が進んでいる。また同基地には、北朝鮮の弾道ミサイル迎撃に当たるイージス護衛艦「まや」なども配備されている。

自衛隊基地など防衛関係施設の上空は、ドローン規制法によってドローン飛行が禁止される対象になっている。動画が3月26日に中国のSNSに投稿されてネット上に拡散した当初、防衛省は横須賀基地内に備えられたレーダーや電波探知によって侵入を探知していないことから加工動画と疑ったとみられる。

4月2日に木原稔防衛相は会見で「悪意を持って加工、捏造(ねつぞう)された可能性を含めて分析中」と述べたが、防衛省は5月9日になって本物のドローン空撮だと判断する分析結果を明らかにした。いずもの上空から甲板に沿って約20秒間映した動画は、誰によっていつ撮影されたか詳細は不明だ。しかし、無防備に侵入を許した上、動画投稿から1カ月以上もかかる分析判断は遅過ぎる。

万一、ドローンが護衛艦や基地施設に衝突すれば重要な機器を破壊しかねず、装備の運用に支障を来した場合、わが国の防衛態勢に影響する事態も考えられる。それ以上に深刻なケースとして、ドローンを用いたテロ攻撃を想定すべきだ。外国軍による武力攻撃事態より発生する可能性の高い脅威として対応策を急ぐべきだろう。

ロシアのウクライナ軍事侵攻では、ドローンなど無人兵器が戦争の形を変えている。ドローン、無人飛行機、生成AI(人工知能)を組み合わせた現代戦の様子が世界中でモニターされており、戦闘に加わっているのも徴兵に応じた市民である。これは、比較的安価で知識と技能ある一般人でも可能な戦いであることを意味する。

横須賀港には海自のほか米海軍基地もある。わが国では、過去に極左過激派による米軍基地などに向けた飛翔弾発射事件などが頻発した。自衛隊や在日米軍基地、その他重要施設へのドローン侵入を禁止するドローン規制法をより厳格にするとともに、高性能なドローンの探知・追跡システムの導入、さらにレーザーによる迎撃などを可能にする法整備と装備の開発、導入を急ぐ必要がある。

スパイ防止法を制定せよ

また、ドローンはミサイルなどの兵器と違い飛行距離が短い。今回、中国のSNSに投稿されたことから撮影は中国人の可能性があるが、国内の中国スパイ網の取り締まりなどに向け、スパイ防止法を制定すべきだ。

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