【社説】韓国与党大敗 引き続き対日関係を強固に

韓国総選挙は与党「国民の力」が議席を減らし、「共に民主党」など野党勢力が議席を伸ばして、政権と国会のねじれ状態がさらに厳しく続くことになった。ただし、野党の議席は大統領弾劾案を可決できる3分の2には及ばなかった。いずれにせよ、尹錫悦大統領は3年の任期を残してレームダック化が避けられなくなり、今以上に難しい国政運営を余儀なくされる。

無党派層を取り込めず

韓国では大統領選であれ総選挙であれ「30・40・30」と言われる。保守系が約3割、左派系が約3割のそれぞれ強固な支持基盤を持ちながら、残りの約4割の中道票や支持政党なし層をいかに取り込むかが勝敗の分かれ目となってきた。与党は昨年12月、代表が辞任するなど混乱があり、尹氏の検察後輩である韓東勲元法相が非常対策委員長となって選挙戦を率いたが、「ワントップ体制の限界」(朝鮮TV)から「40」の攻略ができず、準備不足は否めなかった。

これに対して共に民主党は、李在明代表の裁判が進行中にもかかわらず、政府の経済対策を中心に攻撃を強め「検察改革」などを訴えて支持を集めた。特に子弟の大学院進学不正などで文在寅政権の法相を辞任した曺国氏が「祖国革新党」を立ち上げ、比例選挙区で12議席を確保した。今後、民主党と共同歩調を取っていくものとみられ、国会運営は野党の「立法特需」状態になると予想されている。

内政では苦境に立たされる尹政権だが、外交は継続性が保たれるとの見方が支配的だ。尹氏が国内の強い批判を乗り越え、対日対米関係を改善したことは一定の評価を得ており、野党が文政権時のような極端な「反日政策」を迫ることはないだろう。

現在韓国は“空前の日本ブーム”と言われ、日本ビールが売れ、日本アニメ映画がヒットし、学生街には日本式居酒屋が軒を連ねる。コロナ禍が明けて昨年の訪日観光客は700万人に迫り、国・地域別で最多となった。各党は3年後の大統領選を見据えており、あえて逆風を受けるような政策は取らない。

ただし昨年末、韓国大法院(最高裁)は旧朝鮮半島出身労働者問題で日立造船などに損害賠償の支払いなどを命じる判決を確定させた。さらに韓国の裁判所は、日立造船が納付した供託金に対する差し押さえ、および原告への引き渡しを決定。今後、同じような裁判が続くとみられ、日本側も「韓国内の問題だ」と見過ごしてはいられない。韓国側は「日本の呼応」を求め、日本側は「日韓合意の履行」を主張し合っているだけでは、いずれ行き詰まらないとも限らない。一歩ずつでも前進している状況をつくるべきだろう。

両首脳は拉致問題協議を

現在東アジアは中国の軍拡、台湾海峡危機、北朝鮮の核・ミサイルなど、日米韓が力を合わせて対応すべき課題が山積する中、協力関係を強固にしていくのは言うまでもない。日米首脳会談で岸田文雄首相は、日本人拉致問題解決に向けて北朝鮮と話し合う方針は不変だと強調した。同じ問題を抱える韓国とも緊密な連携を取ることを忘れてはならない。尹氏とこの問題で話し合うことが第一歩だろう。

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