【社説】日米豪比訓練 南シナ海の航行の自由を守れ

日本、米国、フィリピン、オーストラリアの4カ国がフィリピンの排他的経済水域(EEZ)で海上共同訓練を行った。中国の海洋進出が懸念される南シナ海で、海上自衛隊および各国海空軍が合同パトロールをすることによって航行の自由を守り、中国の動きを抑制することを期待したい。

アユンギン礁付近で実施

日米豪比4カ国の共同訓練は、地図上の南シナ海のほとんどの海域を囲む「九段線」を設定して領有を主張する中国が、このところフィリピンの船艇に対して危険な航行妨害を繰り返している中で行われた。海洋秩序の維持に結束した行動を取る決意を表したものだ。海自の護衛艦「あけぼの」や米海軍の戦闘艦「モービル」など各国艦艇が参加し、アユンギン礁付近で訓練を実施した。

フィリピンはアユンギン礁の実効支配を示すために艦船「シエラマドレ」を座礁させ、兵員や物資の補給活動を行っている。しかし、中国は航行の障壁となるブイを設置したり、海警局公船を送り込み激しい放水によって妨害したりしている。

このため、フィリピン側は補給船が航行不能になったり乗船していた兵士が負傷したりする損害を受けている。こうした中国海警局の妨害によってフィリピン海軍の補給活動が停滞すれば、中国が実効支配の既成事実化を進めることになる。そのような事態を許してはならない。

オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、九段線に基づく中国の南シナ海領有の主張について「法的根拠がない」という判断を2016年に示している。中国はスプラトリー(南沙)諸島やパラセル(西沙)諸島で埋め立てを行ったり、軍事施設を建設したりするなど国際法違反の海洋進出を強めており、南シナ海の公海における航行の安全を脅かしかねない。

日米豪比の海上共同訓練は、フィリピンのEEZを守り、国連海洋法条約に反映された海上における航行の自由や上空飛行の自由を守るデモンストレーションだ。

航行の自由、上空飛行の自由は中国にも保障されるのであり、中国も等しく各国のこうした権利を尊重しなければならない。海警局公船を派遣して特定国の艦艇の航行を妨害したり、島や環礁に軍事基地を勝手に築いたりすべきではない。

しかし、中国は日米豪比の共同訓練に対抗して海空合同軍事演習を南シナ海で行い、「引き続き練兵と戦闘準備を強化し、国家主権と安全を断固として守る」との声明を発表した。4カ国の合同パトロールに反発し、南シナ海での「国家主権」を主張して軍事演習を行うのは極めて横暴で危険なことである。

中国の支配阻止へ協力を

フィリピンのマルコス政権は、昨年4月に米国との防衛協力強化協定に基づいて米軍の拠点を同国内に増設し、中国の軍事的な脅威に備えた。わが国も沖縄県・尖閣諸島の海域で中国海警局の公船から威嚇を受けている。

米ワシントンで初の日米比首脳会談が11日に行われるが、各国と協力して中国の海洋支配を阻止する必要がある。

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