【社説】大麻検挙者最多 官民共に危機意識高めよ

2023年に全国の警察が大麻事件で検挙した人は前年比21・3%増の6482人で、過去最多を更新した。

特に20代以下が全体の7割以上を占めており、若年層の間で蔓延(まんえん)が深刻化している。学校などでの薬物乱用防止教育に一段と力を入れる必要がある。

大学生など若年層で蔓延

大麻犯を年齢層別に見ると、最多は20代の3545人、次いで20歳未満の1222人、30代が974人だった。20歳未満は前年比34・0%増で過去最悪となった。

日本大アメリカンフットボール部では部員やOBら11人が大麻を所持した疑いで立件され、アメフト部は廃部に追い込まれた。東京農業大のボクシング部でも販売目的の大麻所持容疑で複数の部員が逮捕されるなど、大学生の間でも広がっている。

大麻を巡っては「たばこや酒より体に悪くない」など誤った情報が拡散しており、このため20歳未満でも喫煙経験がある場合、たばこを大麻に変えるだけだと軽く考えるケースもあるという。SNS上では「野菜」などの表記で大麻が安易に売買されているほか、カナダなどで大麻が合法となったことも蔓延の背景にある。

しかし大麻を乱用すれば、幻覚や記憶障害などが生じる。専門家によれば、精神病にかかるリスクはコカイン以上だ。使用者の5人に1人は大麻依存症になるとの調査結果もあるほか、さらに強い副作用や依存性のある覚醒剤などの乱用につながる「ゲートウェイドラッグ」でもある。好奇心から手を出せば取り返しのつかない事態を招きかねない。

昨年12月には、これまで規制のなかった大麻の「使用」を禁止し、使用罪を7年以下の懲役としたほか、単純所持罪もこれまでの5年以下から7年以下の懲役に厳罰化する改正大麻取締法が成立した。他の麻薬と同様の使用罪は乱用対策として適用を決めたものだ。蔓延防止につなげることが求められる。

一方で改正法では、大麻から製造された医薬品の使用が解禁された。海外では大麻草成分の「カンナビジオール(CBD)」を使った難治性てんかん治療薬が承認されており、国内でも薬事承認に向け解禁を求める声が上がっていた。

こうした病気の患者にとっては朗報だろう。ただ、使用できるのは医師から処方された場合に限る。誤解を招くことのないよう、政府は使用罪の創設や単純所持罪の罰則強化を周知徹底すべきだ。

日大の事件では、当時の副学長がアメフト部の寮内で薬物とみられる植物細片などを発見したにもかかわらず、警視庁に連絡したのは発見の12日後だった。事件への日大の対応を調査・検証した第三者委員会は、報告書で「社会から大学の隠蔽(いんぺい)体質を疑わせ、その信用を著しく失墜させた最大の原因」との見解を示している。

大人は断固とした対応を

若年層における大麻蔓延を防ぐには、大人の断固とした対応が必要だ。若者が大麻によって人生を台無しにすることのないよう、官民共に危機意識を高めなければならない。

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