【社説】能登地震3カ月 復興へ影落とす復旧の遅れ

能登半島地震から3カ月が経過した。石川県では今も8109人(3月29日現在)が避難生活を送り、奥能登地域を中心に断水が続くなどインフラの復旧と生活再建が遅れている。復旧の遅れは、今後の復興に影を落とすものとなる。復旧に拍車を掛ける必要がある。

「魅力高める」プラン発表

災害関連死が疑われる15人を含む死者244人の多くは、倒壊した建物の下敷きになるなどして亡くなった。最大震度7を観測した大きな揺れによる住宅被害は7万5430棟に上り、うち全壊は8420棟、半壊は1万5392棟となっている。

避難者のほかに140人が車中泊を続け、7757人が県内外の親戚宅などに身を寄せている。仮設住宅の建設が急がれるが、輪島市や珠洲市、七尾市など8市町で応急仮設住宅4956戸を着工したものの、完成は894戸にとどまる。11万戸で発生した断水はかなり解消されたが、珠洲市のほぼ全域や輪島市など奥能登を中心に約7860戸の水道が復旧していない。

石川県の馳浩知事は能登半島地震からの「創造的復興プラン」(仮称)の骨子を発表。「単なる復旧にとどめず、能登の魅力を守り高める」とうたい、過疎や人口減少など多くの地方が直面する課題解決のモデルとなるような「創造的復興」を目指すと発表した。

この取り組みは評価できる。過疎が続いていた能登では、単なる復旧では人口減少の波に打ち勝つことは困難だろう。東日本大震災から13年が経過し、ハード面の復旧はなったものの、人口減が顕著な東北地方の現状を見ても明らかだ。

しかし「創造的復興」を進めていくには、これまで能登に存在し、今後の復興の核となる地域共同体が維持されることが重要だ。2次避難を余儀なくされ、これまで住んでいた土地を離れた人たちも、ほとんど地元に帰ることを希望している。

こうした人たちが早く地元に戻り、共同体を維持していくためにも仮設住宅の建設を急ぐべきだ。馳知事は「8月末までに希望者が入居できるようにする」との意向を表明しているが、これ以上の遅れは許されない。

大きな被害の出た住宅の公費解体は、事務手続きの遅れなどでほとんど進んでいない。倒壊家屋が道路を塞(ふさ)いでいる所もある。そんな中、支援に訪れた全国の自治体職員向けの仮設宿泊所が完成したのは大きい。復旧作業の遅れを取り戻すきっかけとなることを期待したい。

家屋の解体のために求められるのはボランティアの活躍だ。ボランティアの受け入れ態勢もゴールデンウイークの連休前には整えたい。

仮設住宅の建設急げ

「創造的復興プラン」は9年後の2033年3月末を目標に、上下水道や道路の復旧、災害への強靭(きょうじん)化、農林水産業や輪島塗など能登の特色ある産業の再建、さらに人口減少を食い止めるため移住を促進する事業などにも段階的に取り組むとしている。これらの事業を成功させるためにも、地域共同体の維持、そのための生活インフラの復旧、仮設住宅の建設を急がねばならない。

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