自民党が第91回党大会を開催した。党大会は参加者皆で党歌を歌い、党の結束を示し、来るべき選挙に必勝を期して士気を高めるのが常だが、今回は全く違った。
「政治とカネ」の問題に関し岸田文雄首相(総裁)ら党幹部はお詫(わ)び発言を重ね、裏金関係議員への「厳しい処分」を約束した。しかし、問題解明への首相の指導力は見えない。
本気で解明意思なし
岸田首相は派閥パーティー収入不記載事件について「国民に心からお詫びする」と陳謝。「政治の信頼回復に向け、私自身が先頭に立って党・政治改革を断行する」と語った。
確かに、衆院の政治倫理審査会へは現職首相としては初めて自らが出席した。二階派や安倍派の関係議員が出席するよう背中を押した形だ。参院での政倫審開催も初となった。
だが、全ての出席者は、いつ誰の指示で資金還流が再開されたかや幹部は裏金の違法性を認識していたのかなどについては触れずじまい。そのため岸田首相は、大会で「事件の関係議員に対しては説明責任を貫徹すべく引き続き促す」と語った。
だが、「促す」程度では指導力の発揮にはならない。もともと首相に本気で解明する意思がないから事前の党内調査がいいかげんだったのではないか。
むしろ、事実解明をうやむやにし、党規律規約などの改正を行って関係議員を厳しく処分し、この問題にフタをしてしまいたいのだろう。そうした問題をそらそうとする岸田首相の政治手法が疑念を生み内閣支持率の低下につながっているのだ。
大会前日の全国幹事長会議、政調会長会議で首相は、政治刷新をテーマに全国の有権者と対話する車座対話をスタートさせる方針を明らかにした。しかし、政倫審で一向に事実解明できないのに説得力を持って話し合いができるのか。
2024年運動方針では憲法改正に触れ、「条文起草のための機関を設置し、改憲原案を作成する」とし、本年中に改憲を実現するため国民の判断を仰ぐことを目指すという。その方針自体は高く評価するが、憲法審査会での議論が進まないのに国民投票の実施にこぎ着けられるのか疑問だ。
自民党は、23年の党員数が前年より3万人余り減り、約109万人になったと発表した。党幹部は減少の理由として「12月に派閥の政治資金を巡る問題が表面化し、国民、党員の不信を招いたこと」を挙げたが、そうではない。党員数が減り始めたのはLGBT理解増進法が成立した頃からで、「政治とカネ」が原因の党員数減は来年の統計に表れてくるはずである。
これは岸田首相がリベラル政治を反映させ、自民党の保守岩盤層を崩した結果である。失った支持層を取り戻すために、運動方針は「保守政党として靖国神社参拝を受け継ぐとともに、各道府県の護国神社参拝も大切にする」と記したが、それでも保守層の回帰には足りない。
改憲訴え信頼回復を
「政治とカネ」問題だけでなく、改憲への意気込みを国民に訴え続け信頼回復につなげなければ反転攻勢は難しい。






