航空自衛隊のF2戦闘機が退役を開始する予定の2035年までに、わが国は後継となる次期戦闘機を英国、イタリアと共同開発するが、国際共同開発した防衛装備品の第三国への輸出を解禁するか否かの論議が浮上している。
英伊は次期戦闘機を第三国へ輸出することで開発コストを下げようとしており、わが国の輸出への反対論によって共同開発に支障を来せば時代に取り残されかねない。
中露が第5世代機配備
ロシアのウクライナ侵略や中国の軍拡など周辺国の軍事的脅威が高まっており、有事に備えてわが国が将来の航空優勢を保つには、これまで以上に高い性能を持つ次期戦闘機が必要になってくる。
現在、最新の戦闘機は第5世代で、機体が見つかりにくいステルス性、高度なセンサーおよび情報処理能力などを備えており、わが国や米国ではF22、F35が配備されている。一方、中国はJ20が配備されており、J31が開発中だ。ロシアはSu57を開発している。
支援戦闘機として日米で共同開発したF2は、第4・5世代とも呼ばれ、第4世代であるが第5世代の一部の性能を有している。だが、中露で第5世代戦闘機の開発、配備が進むにつれて旧世代機として劣勢に立たされることは必至だ。
10年後を見据えた戦闘機開発では、現時点でどの国においても実現されていない戦闘能力を持ち、将来にわたり適時適切な能力向上のための改修ができ、高い即応性などを確保できる国内基盤を有する必要がある。
このような高度な先端技術を要する戦闘機開発はわが国だけでは実現できず、先行して次期戦闘機の共同開発を進めていた英伊にわが国が加わり、22年12月に日英伊共同開発を発表した。政府は今月下旬にも両国と共同開発体制などに関して交渉を進めることから、英伊の輸出については許容するほか選択肢がないだろう。
しかし、参院予算委員会で質問した立憲民主党の辻元清美議員の「人を殺す武器を日本は輸出するのか」といった野党の反対があり、与党でも公明党は慎重な構えだ。かつての「武器輸出三原則」は「武器輸出を慎む」方針であって法律ではなかったが、憲法9条を背景に平和主義に則(のっと)った政策としてもてはやされてきた。
が、これを見直す方針として政府は14年に「防衛装備移転三原則」を閣議決定して武器輸出に一部道を開いている。既にミサイル部品などの量産や、今回の次期戦闘機につながる国際共同開発などを可能にした。熾烈(しれつ)な武器商戦に敗れて受注を逃したが、オーストラリアへの潜水艦輸出を目指したこともある。
弾力的な運用を可能に
自民党と公明党は「歯止め策」を作ることによって次期戦闘機の輸出を解禁する方向で調整するが、ロシアとウクライナとの戦闘状況から無人機など次の国際共同開発もあり得る。
自縄自縛となりかねない「歯止め」にすることなく、弾力的な運用を可能にしてわが国の防衛に支障を来さないことを求めたい。






