【社説】国連改革 グローバルサウスの支持得よ

ブラジルのリオデジャネイロで20カ国・地域(G20)外相会合が開かれ、国連改革問題が議論された。議長を務めたブラジルのビエイラ外相は、ウクライナやガザ情勢を念頭に、国連安全保障理事会は国際紛争に機能麻痺(まひ)を起こしているとし、改革の必要性を訴えた。

国際情勢で無力さ露呈

国連はロシアのウクライナ侵略を防げなかったばかりか、露軍の撤退や停戦への道筋も描けていない。またパレスチナにおける衝突を止めることもできず、その無力さを露呈した。

そのような国連に改革を期待しても無意味ではないかとの指摘もあろう。しかし、国際の平和と安全や環境対策、開発援助や教育など現代の世界が抱えるさまざまな問題に幅広く取り組む普遍的な国際機関は国連をおいてほかにはない。

国連に代わる新たな機関を創設すべきとの声もあるが、具体的な構想も国際社会の合意もない現状では不可能に近い。多くの問題を抱えてはいるが、国際社会は国連と距離を置くのではなく、機能強化に向け積極的に関与を続けていく必要がある。

G20の議長国を務めるブラジルでは昨年、12年ぶりにルラ氏が大統領に帰り咲いた。ルラ氏はかねて国連改革に熱心で、安保理の常任理事国拡大を主張している。G20を通じ改革の必要性を世界に訴え、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国の代表格としてブラジルの存在感を高めたいとの思いがある。

ビエイラ氏の発言に呼応し、上川陽子外相も国連の機能強化が不可欠とした上で、安保理の構成に国際社会の現実を反映させるには、常任理事国と非常任理事国の双方の拡大が必要であり、具体的な行動に移していくべきだと訴えた。日本は2004年、ブラジルやドイツ、インドと共に安保理常任理事国入りを目指す4カ国グループ(G4)に参加し、翌年、安保理事国を増やす改革案を提出した。だがアフリカ諸国の支持取り付けに失敗し、廃案に追い込まれた苦い経験を持つ。以後改革の動きは停滞し、日本の国連外交も精彩を欠く状況が続いている。

しかし国際情勢が緊迫する現在、国連改革は喫緊の課題だ。ビエイラ氏は安保理に「新たな常任理事国と非常任理事国を加える」改革について議論を進める必要があるとの声明を発表。G20以外の国連加盟国も交え幅広い改革議論に繋(つな)げるため、国連総会に合わせ9月にニューヨークで2回目のG20外相会合を開くことも承認された。

安保理の理事国数増やせ

日本はブラジルとの連携を密にし、併せて先の失敗の教訓を活かしてグローバルサウスの理解と支持取り付けに全力を挙げ、安保理改革実現のため強い指導力を発揮すべきだ。改革では何よりも常任理事国の拒否権行使に制約を加える必要があるが、実現は容易でない。まずは理事国の数を増やし、国際社会の声を正しく反映させることから進めるべきであろう。

1月に見送った岸田文雄首相の南米訪問を5月に行うことが検討されている。ルラ氏との会談が実現すれば、安保理改革の進め方について首脳間の意見交換や深い議論が期待できよう。

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