【社説】インドネシア/日本は戦略関係を強化せよ

インドネシアの大統領選挙で、プラボウォ国防相が勝利を確実にした。インドネシアでは、現職のジョコ大統領が今も70%前後の高い支持率を維持しているが、3選を禁じる憲法規定のため出馬できない。

今回の選挙ではプラボウォ氏のほか、アニス前ジャカルタ特別州知事やガンジャル前中ジャワ州知事が出馬したが、プラボウォ氏が勝利を宣言した。

国防相が次期大統領に

プラボウォ氏は過去2回の大統領選にも出馬したが、いずれもジョコ氏に敗れている。今回の選挙戦では、ジョコ氏の路線継承を誓うとともに、ペアを組む副大統領候補にジョコ氏の長男でソロ(スラカルタ)市長のギブラン氏を据えるなどジョコ一族との連携を前面に押し出した。この作戦が功を奏し、高い支持率の獲得に繋(つな)がった。

インドネシアは世界第4位の人口(約2億7000万人)を擁し、国土面積も東南アジア諸国連合(ASEAN)の中で最大だ。豊富な天然資源に恵まれ、経済規模も1兆㌦を超えるなど「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国の中で存在感を高めつつある。独立100周年となる2045年までの先進国入りを目指しており、将来は国内総生産(GDP)で日本を抜き世界第4位に躍り出るとの予測もある。

プラボウォ氏は内政外交の両面でジョコ氏の路線を継承発展させていくであろう。日本との関係にも大きな変化が生じることはないと思われる。

そうした中、この国の市場としての魅力に留(とど)まらず、経済安全保障の見地から天然資源やエネルギー供給源の分散多角化を進める上でも、日本はインドネシアと良好な関係を維持していく必要がある。一方でインドネシアにとっても、日本からの投資や技術協力を拡大させ、現在最大の貿易相手国である中国への依存体質から抜け出すことは、健全な発展を促す重要な施策となろう。

この国がマラッカ海峡やロンボク海峡を扼(やく)すなど、地政学的に重要な位置を占める海洋国家であることも見落としてはならない。20年10月、当時の菅義偉首相は就任後初の外国訪問先としてベトナムと並びインドネシアを選んだ。

歴代首相の最初の外遊先には米国が選ばれることが多い中、菅氏がインドネシアを訪問したのは「自由で開かれたインド太平洋」実現を意識してのものだ。膨張を続ける中国に対処する上で、インドネシアが戦略的に重要な役割を果たすことに着目したからにほかならない。

昨年11月には米国のバイデン政権もインドネシアとの関係を従来の「戦略的パートナーシップ」から「包括的戦略パートナーシップ」に格上げし安全保障面での連携を深めている。

2プラス2の早期実施を

中国の脅威が日増しに高まり、南シナ海などで海洋秩序が脅かされる中、わが国のシーレーン(海上交通路)を守るためにも日本はプラボウォ新政権との意思疎通を密にし、外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の早期実施などインドネシアとの戦略的な協力連携関係の強化に乗り出すべきである。

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