全国市区町村の庁舎内で、日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」の購読勧誘が共産党議員によって強い圧力と共に不当に行われている実態が次々と明らかになっている。しかし、まだ氷山の一角にすぎないようだ。全国の自治体は、既に十数カ所の自治体で実施されているように管理職員へのアンケートを行ってパワハラ勧誘の実情を把握し、是正措置を講じるべきである。
悪質なパワハラ勧誘
昨年、35の地方議会で「政党機関紙の庁舎内勧誘行為の自粛を求める」ことを趣旨とした陳情が採択された。審議では、陳情提出者や賛同議員と、それに反対する共産党議員との間で激しい論戦が展開された。
陳情が採択される過程で明らかになったことは、自治体が主体的に職員へのアンケート調査を審議前に行っておくことの意義だ。
例えば、鹿児島県霧島市では管理職対象の「職員アンケート」を実施し、7割以上の56人が「議員が2人そろって来られると断りにくかった」「やめたいが言い出しにくい」などの理由で不本意ながら購読を続けていることが判明。この結果を参考にして行った本会議(昨年12月22日)で「自粛」を求める陳情が19対4で採択された。
本紙が昨年5月下旬から6月上旬にかけて行った全国の自治体アンケート調査には167の自治体(21道県、146市町村)が回答したが、「心理的圧力を感じながら購読した政党機関紙」の約92%が「赤旗」だった。「庁舎内での圧力」を「なくしたい」というのが多くの自治体の声だったが、対処策を持っていない点で共通していた。
調査の視点は二つあろう。一つは、議員による職員への購読勧誘パワハラがあるかどうか。改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が2020年6月から施行され、民間労働者だけでなく地方公務員や教職員も保護の対象となった。事実関係の迅速な把握や再発防止に向けた措置を講じることなどが定められているのだが、周知されていない自治体が多いようだ。
本紙のアンケート調査で「一定以上の圧力を感じ購入せざるを得なかった」との声が多数寄せられた。「実際に金銭を支払うことになり、特定政党への援助に当たるのではないかと思う部分もあり、職務への後ろめたさを感じてしまう」といった職員たちの苦悩を解消するのは急務のはずだ。
二つ目は、庁舎内の管理規定を守って勧誘が行われているのか否か、あるいは規定自体があるのかである。庁舎内での営業勧誘行為が「許可申請事項」であるにもかかわらず、多くの共産党議員らは規定を黙殺して無許可で勧誘し続けているのが実情だ。
3月議会前に対応を
これまで、北海道千歳市、秋田県潟上市、兵庫県高砂市、神奈川県南足柄市、大磯町、寒川町などで管理職職員に対してアンケート調査が行われてきた。だが、まだ数が少ない。
新年度の始まる4月から「赤旗」勧誘が強化されるのが慣例だ。未調査の自治体は、3月議会を前に調査を行い対処すべきである。