【社説】ロシア大統領選 ウクライナ侵攻反対を争点に

ロシア大統領選挙が3月15~17日に予定され、プーチン大統領の通算5選がほぼ確実視されているが、ウクライナ侵攻に反対する候補の候補者登録が危ぶまれている。

民主主義から程遠い政治弾圧が露呈していることは由々しきことだ。ロシア軍が不法に支配しているウクライナ東部・南部でも同選挙を強行しようとしており、一方的な主権侵害を重ねる事態が懸念される。

戦争継続への不満増幅

ロシア国内ではウクライナ侵攻当初、これに反対するデモが各地で発生し、プーチン政権への批判が高まったが、強権的な取り締まりと法律により罰則を科す情報統制の施行によって、ウクライナでの「戦争」について発信することが禁じられた。

プーチン政権が「特別軍事作戦」と称しているウクライナ侵略は間もなく開始から2年を迎えようとしている。ロシア軍の死傷者は30万人を超え、なおも戦闘地域に60万人以上の兵力を投入しているとみられる。ロシア国民にとっても増える死傷者、兵役と戦費が負担となり、ウクライナで戦争を続けることへの不満は増幅している。

このため、ウクライナ侵攻に反対している独立系候補のナジェジディン元下院議員に、大統領選挙候補者登録に必要な10万人以上の署名が集まった。厳しい情報統制の中で、人々が公然と侵攻反対を掲げている候補者を支持し、擁立しようとすることは意義深い。しかしロシアの中央選挙管理委員会は、署名のうち「15%」の不備を指摘し、立候補が危ぶまれている。

ナジェジディン氏は不備を修正して立候補する構えだが、中央選管が出馬を認めるかは予断を許さない。これまでプーチン政権は、反体制派指導者ナワリヌイ氏を極寒地域であるシベリアの刑務所に収監するなど政敵への政治弾圧を継続しており、ナジェジディン氏にとって大統領選出馬は身を危険にさらす覚悟のいることだろう。

プーチン氏にとって大統領選挙でウクライナ侵攻への反対が争点化することは、反戦世論を高める契機になりかねない脅威だ。実際、当初はウクライナ侵攻に8割以上の支持があったが、長期化するにつれて下がっている。ロシアの代表的な世論調査機関「レバダ・センター」の昨年12月の調べでは、ウクライナでの「軍事行動継続」を支持したのは36%、「和平交渉開始」の支持は57%だった。

こうした世論調査結果から大統領選での重要な争点になるはずだが、侵攻に反対する対立候補の存在がなければ選挙での論戦も競い合いもない。ナジェジディン氏が集めた署名の「不備」を理由にして候補者登録を受け付けないのは、争点隠しにほかならない。

勇気ある候補応援したい

中央選管は、ナジェジディン氏の立候補を認めるか否かを決定する会議を8日に開くが、認められない場合にはナジェジディン氏側は最高裁判所で不服申し立てを行う方針を明らかにしている。国際社会の厳しい制裁を招いたウクライナ侵攻に、反対を明言するロシア国内の勇気ある大統領選候補と支持者を応援したい。

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