【社説】避難生活と健康 感染症対策と栄養、睡眠を

能登半島地震の発生から1カ月が過ぎ、石川県では今も1万5000人近くの人々が避難生活を送っている。道路や水道などインフラの復旧の遅れで、避難生活の長期化が予想される。健康の維持が大きな課題だ。

自宅で低体温症の危険も

避難所で生活する人は2日時点で1万4431人となっているが、まず懸念されるのは感染症の拡大だ。能登町のある避難所では先月半ば、150人の避難者のうち30人が新型コロナウイルスに感染する事態が起きている。症状が出た場合、避難所内で場所を移動するなど速やかな対応が求められる。

断水が続いている中でも、消毒スプレーなどを利用し、衛生を保つ工夫が求められよう。新型コロナの流行時を思い出してマスクの着用も効果的に行っていきたい。

北陸地方は一年で最も寒い時期を迎えている。避難所の温度管理は改善されている一方、余震も小規模となり少しずつ状況が落ち着き出したところで、被害を受けた自宅に戻り、片付けなどを行う人も出てくる。その際に、作業に夢中になりつい寒さを忘れてしまったりすると、偶発性低体温症となる危険があると言われる。暖かい服装でカイロなどを利用し、体を冷やさないようにしたい。

車中泊では、足の静脈に血栓ができて起きるエコノミークラス症候群に注意したい。同じ姿勢を続けず、できるだけ足を上げフラットな姿勢で就寝することや、外でストレッチをし、車内でもふくらはぎをもんだりすることが勧められている。こまめな水分補給も大切だ。

健康維持の基本となるのは、十分な栄養と睡眠である。発災から間もない時期は、インスタント食品でもやむを得ない面があったが、1カ月が過ぎ、長期戦を戦うためにも栄養バランスのとれた温かい食事が欠かせない。こうした食事は、精神的にもダメージを受けている被災者を励ます力がある。炊き出しボランティアなども一層の支援が求められている。

睡眠時間の維持と質の改善のためには、避難所での段ボールベッドも有効だ。先行きへの不安などから睡眠障害を起こしている人には、医療従事者によるカウンセリングや睡眠の質を高めるサプリメントなどの活用も検討すべきである。

入浴は衛生確保や保温、血流促進のほか、心理的なリラックス効果も大きい。自衛隊などの入浴サービスは被災者の健康維持に大きな助けとなっている。

被害の大きい奥能登地方は高齢化率が高く、全国平均の29・1%に対し50%前後だ。避難生活が長引く中で、高齢者の健康状態の悪化が懸念される。高血圧や糖尿病など持病を持つ高齢者の投薬や健康チェック体制の確保が急がれる。被災地の医療機関も動き出しているが、十分に手も回らない部分も大きい。全国からの支援が求められる。

在宅避難者のケアも急務

石川県内では3100人が在宅避難している。避難所と違って、支援物資が届きにくいことはもちろん、健康管理も当人任せとなりがちだ。高齢者が多い地域だけに、在宅避難者のケアを行う態勢も早く整えたい。

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