【社説】ウクライナ侵攻 支援なければ露軍支配広がる

ウクライナはロシアの軍事侵攻が長期化する中で、反転攻勢を猶予せざるを得ない厳しい状況に直面している。欧米の対ウクライナ追加支援が滞っており、弾薬も不足する一方、ロシアは北朝鮮やイランからの支援で弾薬や無人機の不足を補っている。軍事侵攻を正当化するロシアが、これ以上ウクライナで支配地域を広げる事態は避けなければならない。

反転攻勢進まず戦線膠着

ウクライナのゼレンスキー大統領は、スイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で改めて国際社会の支援を求める演説を行った。昨年の反転攻勢がロシア軍の塹壕(ざんごう)戦と地雷原に阻まれ、占領された東・南部地域の奪還は思うように進まず戦線が膠着(こうちゃく)したままだが、ゼレンスキー氏は「凍結された紛争」を拒絶すると訴えた。ロシアの侵攻を許したままの停戦論に強い不信感を示したもので、当然だ。

しかし、米国や欧州連合(EU)に「ウクライナ疲れ」が表れている。米国はバイデン大統領が表明した614億㌦(約9兆円)の追加支援が議会で承認されていない。EUの500億ユーロ(約8兆円)の追加支援も先送りされている。このため、ウクライナ軍は占領地域の奪還から「戦略的防衛」に方針転換したと観測されている。

ロシアがウクライナの国境線を越えて軍事侵攻に踏み切った当初、国際社会は一斉にロシアを非難し、極めて厳しい制裁措置を取ってきた。だが、世界最大の国土を持ち資源が豊富なロシアには耐久力があり、ロシア産原油を輸入する中国、インドなど経済制裁に協力しない国も一定数存在する。

また、プーチン政権は強権的な国内統制を手段を選ばずに固めており、3月の大統領選もプーチン大統領の独走状態になっている。だが反戦デモは徹底的に取り締まることができても、潜在化した政権への不満や批判は簡単に消えるものではない。

今月、反体制派への実刑判決を受けて数千人規模の抗議デモがバシコルトスタン共和国で発生している。軍事侵攻の長期化とともに、国家統制が厳しくなったロシアでは社会不安が増幅していると言えよう。

年末年始もウクライナは首都キーウなどがロシアのミサイル攻撃を受け、報復のため国境付近のロシア本土を砲撃した。ゼレンスキー氏はロシア西部のクルスク、ベルゴロドなど国境付近の6州・地方を「歴史的なウクライナ人居住地」とする大統領令に署名した。

ウクライナ東・南部4州を「併合宣言」したロシアに対抗するものだ。ウクライナは侵略されて国内を戦場にされながら、核兵器使用の脅しによってロシア国内を攻撃できない不利な状況の中、反撃のテリトリーを広げた戦いが進む可能性もある。

露の譲歩による和平を

一方でウクライナは、10項目の和平案「平和の公式」を提唱している。軍事侵攻以前の状態に戻そうとする内容で、ロシアは無視しているが、重要なのは和平に引き込むことだ。それはウクライナ支援の継続によって、ロシアが譲歩する形でなければ国際正義に傷が付く。

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