【社説】人口減少対策 婚姻と出生が増える国造りを

民間有識者による「人口戦略会議」の提言「人口ビジョン2100」が公表され、2100年の日本の人口を8000万人とする目標を打ち出した。人口減少は回避できない状況で、総務省が2023年12月に公表した人口1億2451万7000人を大きく割り込むが、経済政策、都市政策などをフル動員した国造りによって婚姻と出生を増やさなければ、未来の日本は衰退してしまう。

平成以来少子化止まらず

年々減少する婚姻数や出生数などの数値に、平成以来の少子化対策は空振りだったという結論を付けざるを得ない。22年、出生数が80万人を割り、出生率は1・26だった。このまま推移すれば2100年に人口は6300万人まで減少する計算になり、現在の半分になる。

人口戦略会議はこれを8000万人に食い止める目標を掲げて、内閣に人口減少対策の担当本部を設け、若者世代の希望実現のために所得向上や雇用改善を行い、東京一極集中是正に官民挙げて取り組む戦略会議を設置し、人口減補充のための移民政策は採らないことなどを提言した。また、そのための官民挙げた「国家ビジョン」を示すことを求めている。

人口減少に対して移民をとの主張が政界の一部に存在するが、人口対策は数合わせではない。この点、同会議が移民に頼らず「国家ビジョン」をも描こうとしたのは日本の将来のあり方を考える上で重要なことだ。

また、これまで国政選挙のたびに各党は少子化対策の公約を掲げたが、一過性の選挙対策の域に留(とど)まったとも見える。これまで児童手当、教育無償化など予算措置もなされたが、少子化が止まらないことは残念だ。

政府は2023年末に「こども未来戦略」の少子化対策を閣議決定し、多子世帯の大学授業料の無償化や高校生も対象とするなどの児童手当の拡充策を盛り込んだ。実際、子育て世帯にとってはありがたい対策であることに間違いない。ただ、独身の若者たちの婚姻と出産に至る動機に落とし込めるか微妙である。価値観の多様化と個々人の「自己決定権」もあり、どうしても時代や風潮に結婚への考えが左右されるのは否めまい。

「団塊の世代」を生み出した戦後のベビーブームは、焦土となった敗戦国の貧しい時代の出来事だった。背景に旧軍の復員があるが、戦地で流行した歌謡曲「誰か故郷を想わざる」には、嫁入りの姉との惜別の涙の思い出や故郷の幼なじみとの思い出が切なく語られており、家族、近所という人々の縁の濃さが垣間見られる。

人の縁を豊かにしたい

今日、人の縁が薄れている。隣近所の縁談に関心を持つ田舎のムラ社会は時代と共に空洞化し、人口が集まる都市部では隣近所と無関係というケースもある。ネットの普及は人と会う機会を少なくした。社会的に総じて人間関係が少なくなれば、男女の縁を結ぶ縁談の機会、恋愛の機会も少なくなろう。

予算措置を取る政策動員は必要だが、人の縁が豊かになる日本社会となることも「国家ビジョン」に求めながら、婚姻、出生が増えることを願いたい。

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