【社説】24年の政治 魂入れ憲法改正に取り組め

2024年は石川県で最大震度7を観測した能登半島地震という最大級の自然災害発生で幕を開けた。岸田文雄首相は恒例の伊勢神宮参拝を延期して年頭の記者会見を官邸で行い、今回の地震を「国難」と位置付けて「先頭に立つ」覚悟を語った。

必要な緊急事態条項

ただ、大規模災害は今後も続く可能性が極めて大きいことも忘れてはならない。国が想定している「南海トラフ」「首都直下」地震などに対処することをも念頭に置き、緊急事態条項を盛り込んだ憲法に改正すべきである。岸田首相には今年、魂を入れ本気で改憲を実現する決意を求めたい。

首相は会見で、大震災への被害対応と、自民党の政策集団の政治資金パーティー問題に関して自民党の体質刷新に取り組むことを強調した。今も地震活動が続いており、支援のスピード化と長期戦を想定し全力を挙げなければならない。一方、現職国会議員が逮捕され、捜査が拡大する中で国民の政治への信頼回復を図るのも当然である。

問題なのは、憲法改正について「議論を前進させるべく最大限努力したい。党派を超えた議論を加速させていく」と述べた程度で、自分の言葉で改正の意義を具体的に語らず、これまでと同様、国会任せの姿勢を見せたことだ。

阪神・淡路大震災(村山富市内閣)や東日本大震災(菅直人内閣)などの大規模災害時に決まって与野党から出てきたのは、緊急事態条項を盛り込んだ改憲の必要性の議論だった。

今回は国会議員の任期が切れていたタイミングでなかったが、選挙の実施が難しい状況が長期化した場合どうするのか。国会が開けない状況に陥った際、政府が法律と同じ効力を持つ「緊急政令」を定められるようにすることがなぜ必要なのか。首相は国民に説明し理解を求めるべき内容があったはずだ。

政府が公表した「いつ起きてもおかしくない南海トラフの巨大地震」の想定では、震度7が10県、6強が21府県で発生。最大30㍍以上の巨大津波により、最悪の場合、死者は32万人を超えるという。また、東京など首都圏を襲う「首都直下地震」は死者約2万3000人、今後30年で発生確率が70%と国が想定している。

国家の緊急事態すなわち国難は、自然大災害にとどまらない。人為的な原子力発電などの大災害、新型コロナウイルスなどの疫病流行や、外国からの軍事攻撃、侵略なども含まれる。ロシア、中国、北朝鮮への警戒を強めなければならない情勢にあり、憲法に裏付けられた安全保障戦略の適用こそが筋である。

国民守る議論加速を

首相は「自分の党総裁任期中に憲法改正を実現したいとの思いに変わりはない」という。だが、実現したいと思っているだけではだめだ。

9月までの総裁任期を逆算すると、少なくとも通常国会前半で条文化作業を終え、後半には国民投票に掛けるための国会発議ができる段階になければならない。与野党とも国民の生命と財産を守るという目線で議論を加速すべきだ。

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