【社説】新年の日本 基礎を固め直し前へ進もう

令和6年を迎えた日本は、元日に石川県能登地方を震源とする震度7の大地震に見舞われる厳しいスタートとなった。天皇、皇后両陛下の一般参賀も中止となる非常事態である。揺らぎつつある国家の基礎を固め直し、前へ進まなければならない。

皇室を巡る議論進まず

「令和6年能登半島地震」では、既に多くの死者が確認され、なお倒壊した建物の中に閉じ込められている人たちがいる。寒いこの季節、災害発生から人命救助までの黄金時間と言われる72時間が迫っている。救出に全力を挙げてほしい。

一部で断水や停電も続いている。被災した地域は高齢者も多い。水や灯油など支援物資を一刻も早く送る必要があるが、道路が寸断され、届かない所も少なくない。ライフラインや輸送ルートの復旧を急ぐべきだ。これから雪が降ると復旧作業は困難になる。政府は最大限の努力を傾注しなければならない。

地震は大地という生活の土台が揺らいで起きるだけに、他の災害と比べても被害は甚大だ。基礎・土台の重要性は国のあり方においても同様である。昨年の日本は、政治をはじめ各分野の劣化、断層が露(あら)わになった。今年は、その土台をもう一度点検し固め直す必要がある。

日本の国のかたちの基礎は皇室にある。皇族数の減少に歯止めをかけるため、政府の有識者会議は令和3年末、女性皇族が結婚後も皇室に留(とど)まること、旧皇族の男系男子を養子とすることを柱とした提案を行った。しかし、その後議論は進んでいない。自民党の「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」は、昨年11月に初会合を開いたが、12月の2回目を延期している。

国際情勢や日本を取り巻く安全保障環境は、大きく変化し、その厳しさを増している。的確な対応が常に求められるが、それとともに日本はより主体的な戦略外交を展開していく必要がある。そのためには、しっかりとした国内的な基盤がなければならない。憲法改正はその基礎である。

昨年暮れに急浮上した自民党派閥の政治資金パーティー収入の裏金化疑惑によって安倍派が政権中枢からほぼ一掃されたことで、憲法改正や皇位の安定的継承という保守的政策課題の停滞も止(や)むを得ないという空気が生まれている。しかし、この二つは安倍派にとどまらず自民党の党是に関わる問題だ。

一方の野党が、自民党の政治とカネの問題を追及するのは当然だろう。しかし、それを理由に政策論議を実質サボタージュすることは許されない。こうしたことを続ける限り、いくら自民党が失点を重ねても、自分たちの支持率は上がらないという状況が続くだろう。

自由守る司法判断を

戦後日本の繁栄の基礎にあったのは、日米安保を基軸とした平和であり、基本的人権とりわけ思想信条の自由の保障であった。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)を巡る問題で、岸田政権は政治的思惑から教団の解散命令を裁判所に請求。信教の自由擁護の一線を越えてしまった。繁栄の基礎をこれ以上揺るがしてはならない。司法の公正な判断が望まれる。

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