【社説】来年の各国選挙 推移注視と共に日本の強化を

2024年は1月の台湾総統選を皮切りに、3月にロシア大統領選、4月に韓国総選挙、秋には米大統領選と、日本の安全保障政策に関わる重要な選挙が各国で実施される。それらの見通しと推移への注視も欠かせないが、同時にわが国は国力を強化し、安全保障体制の実効性を高めていかねばならない。

インド太平洋の安定へ

1月13日の投開票まで2週間余りと迫った台湾総統選では、与党・民進党の頼清徳候補が最大野党・国民党の侯友宜候補の肉薄を事前予想でわずかに抑えているもようだ。中国共産党の指示を受けた者が、偽の世論調査結果を8回にわたり発表した疑いで身柄を拘束されるなど、情報戦も熾烈(しれつ)を極める。国民党は、自分たちは中国と対話をしながら平和を維持するが、民進党は中国と対立し戦争を誘発すると扇動しながら、現在少数に甘んじている立法委員(国会議員)選で過半数をうかがう。

ロシア大統領選ではウクライナ侵攻を継続するプーチン大統領が5期目を目指す。14年に一方的に併合したクリミアに加え、侵攻中の東部ドネツクとルハンシク、南部のザポリージャとヘルソンの各州住民にも投票権を与え、4州併合の既成事実化を目指し、侵攻への支持を取り付ける戦略的攻勢を掛ける。

韓国総選挙では定数300に対して現在112議席に甘んじる保守政党の「国民の力」が、尹錫悦大統領の下で過半数を奪還できるかに注目が集まる。それでこそ、文在寅前政権とは正反対に日韓関係にポジティブに働き掛ける尹氏の残り3年間の任期に有効な法制化も見込まれよう。しかし11月末の釜山への30年万博誘致の失敗、繰り返される「友達人事」への揶揄(やゆ)、登庁時の囲み会見を長期にわたり放棄するなど国民との疎通の欠如などで、政権支持率も30%台に低迷と見通しは厳しい。

11月の米大統領選は、20年に引き続きバイデン大統領(民主党)とトランプ前大統領(共和党)で争われる様相だ。各調査は数々の接戦州でのトランプ氏優勢を伝え始めた。

24年選挙イヤーの概観では、基本的人権など普遍的価値観を共有し、日本が主導する「自由で開かれたインド太平洋」の大枠における台湾、韓国また米国の各政権動向が注目される。首脳レベルでは既存の台湾と韓国に加え、米国で共和党トランプ政権が返り咲けば、保守勢力の強化を見いだし得る。

だが、武力行使をすら辞さず台湾統一を核心政策とする中国の習近平政権と親和性の高い国民党が立法委員選で過半数を取れば、台湾海峡を巡って力による現状変更のリスクが高まる。韓国では「国民の力」が国会での過半数奪取に失敗すれば、腑(ふ)抜けの尹政権下の日韓関係で再度不安定化が強まるだろう。

国民は国防意識高めよ

ロシアによるウクライナ侵攻と併せ予断を許さぬ国際情勢の中、その推移の注視と共にわが国は自国こそを見詰め、安全保障体制を整備する不断の努力が必要であることは言うまでもない。政府が外交、防衛力などを強化するとともに、国民自身がリテラシーを高め、国防意識を強めていかねばならない。

spot_img
Google Translate »