【社説】辺野古移設 県は抑止力維持に向け容認を

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、国が軟弱地盤改良に伴う設計変更の代執行に向け、玉城デニー知事を相手取って起こした訴訟で、福岡高裁那覇支部は国の請求を認め、玉城氏に設計変更を承認するよう命じる判決を言い渡した。

玉城氏は日本を取り巻く安全保障環境の厳しさを直視し、米軍の抑止力維持に向けて判決を受け入れるべきだ。

代執行すれば初のケース

玉城氏が25日までに承認しなければ、国は地方自治法に基づいて代執行し、工事に着手する構えだ。代執行に踏み切れば、初のケースとなる。

判決で三浦隆志裁判長は、玉城氏が設計変更を承認しない意思は明確で強固だとし、地方自治法が代執行の要件とする「他の方法による是正が困難」なケースに該当すると判断。県の対応を違法とした最高裁判決を放置するのは「法の支配を損ない、社会公共の利益を害する」と非難した。

玉城氏が、米軍の抑止力維持のために行われる辺野古移設への反対を続け、移設工事を停滞させれば、日本と東アジアの平和や安定を揺るがすことにもなりかねない。その意味で、玉城氏に設計変更の承認を命じた判決は妥当である。

辺野古移設を巡る訴訟で、県は故翁長雄志前知事の時代から敗訴を繰り返している。近年は選挙でも、玉城氏を支援する「オール沖縄」候補の敗北が目立ち始めた。

覇権主義的な動きを強める中国や核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威が高まる中、日本を取り巻く安保環境は厳しさを増している。特に昨年2月に始まったロシアのウクライナ侵略は、抑止力の重要性を改めて示したと言える。玉城氏が辺野古移設に反対しても支持を広げることは難しい。

もちろん、沖縄が抱える重い基地負担には配慮する必要がある。ただ、辺野古移設も負担軽減の一環であることを忘れてはなるまい。

住宅密集地に位置する普天間飛行場は「世界一危険な飛行場」と言われており、危険性の除去は喫緊の課題だ。防衛省は地盤改良工事の開始から米軍への提供までに12年かかるとしている。これ以上、移設を遅らせることはできない。

一方、沖縄は朝鮮半島や中国をにらむ要衝であり、県外や国外への移設は現実的ではない。中国が昨年8月、ペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問に対抗し、台湾を包囲した大規模演習を行った際には、中国の発射した弾道ミサイル5発が沖縄県・与那国島沖など日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。

故安倍晋三元首相の「台湾有事は日本有事」という言葉が、決して誇張ではないことが明確になった。自衛隊が中国の進出に備えて南西諸島の体制を固める「南西シフト」を進める中、辺野古移設の重要性も増していると言えよう。玉城氏は移設を容認し、工事に協力すべきだ。

振興のビジョン明示を

これとともに玉城氏は、普天間返還後を見据え、跡地利用をいかに沖縄振興につなげるか明確なビジョンを示してほしい。

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