【社説】温暖化対策 原発活用と石炭技術の革新を

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)では、温室効果ガスを大量排出する石炭や石油などの化石燃料について、2030年までを念頭に「脱却に向けた行動を加速させる」との文言を盛り込んだ成果文書が採択された。しかし石炭火力の技術革新も地球温暖化への有効な対策であり、発電時に温室ガスを排出しない原発の活用拡大と共に進める必要がある。

22カ国が「3倍」に賛同

COP28では、産業革命前からの世界の気温上昇を1・5度以内に抑える目標に向け、温室ガス削減の進み具合を点検する「グローバルストックテイク」を初めて実施。成果文書は点検結果を踏まえ、目標達成には25年までに世界の温室ガス排出量を減少に転じさせる必要があると指摘した。

排出量は世界全体で30年までに19年比43%減、35年までに60%減とし、50年までに実質ゼロにすることが欠かせないと強調。そのための手段として、再生可能エネルギーの設備容量を30年までに3倍に拡大することなどを挙げた。

しかし再エネは気象条件で発電量が変動するため、安定的な電源とは言えない。一方、石炭は長時間安定的に発電可能で、再エネの調整力として利点を持つ。世界に広く分布しているため供給途絶のリスクが低く、調達コストも安い。

エネルギー資源が乏しい日本は、今後も一定程度の石炭火力を維持する方針だ。日本の産業界は環境負荷の低減に向け、石炭を高温高圧でガス化した上で発電に活用し、その過程で生じる熱も有効利用してエネルギー効率を高める技術などを開発。来年3月には燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さないアンモニアを20%混焼する世界初の実証事業も始まる。

コスト面の問題から再エネを急拡大させるのが難しい新興・途上国も多く、既存設備を活用しながら段階的に脱炭素化を目指す日本の技術への期待が高まっている。COP28では成果文書に化石燃料の「段階的廃止」を盛り込むよう求める意見も出たが、日本は石炭火力の技術革新と途上国への支援を通じて温暖化対策に貢献すべきだ。

COP28では日米など22カ国が「世界全体の原子力発電の設備容量を50年までに20年比で3倍に拡大する」との宣言に賛同した。宣言を発表した米国は、原発が「クリーンで安定供給が可能な電源で、エネルギー安全保障にも利点がある」と強調している。温暖化を抑えるには原発の活用拡大が欠かせない。

次世代型で安全性高めよ

政府は今年2月に決定した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」に、原子力を脱炭素効果の高い電源として「最大限活用」する方針を明記し、原発の建て替えや運転期間延長を盛り込んだ。日本では東京電力福島第1原発事故の影響で原発への不信感が根強いが、安全性の高い次世代型原発の導入などで理解を得ていく必要がある。

原発の活用拡大には、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルの確立も求められる。

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