【社説】4閣僚交代 その場しのぎの人事刷新

自民党安倍派のパーティー券を巡る裏金問題で、岸田文雄首相は4閣僚を交代させ、林芳正前外相を新たな官房長官に据えるなどの人事を行った。同派の萩生田光一政調会長ら党側の3幹部の人事も来週行われる。しかし、人事刷新の高揚感は皆無でその場しのぎの印象が強い。

岸田首相は安倍派だけでなく、岸田派など他派閥にもメスを入れ、政治資金の徹底した透明化策を示すべきである。

官房長官人事に懸念

問題となっているのは、安倍派の所属議員に課したパーティー券販売のノルマ超過分を同派や議員の収支報告書に記載せず、議員にキックバック(還流)していたというものだ。不記載額は過去5年間で総額5億円に上るという。

ただ、収支報告書への不記載・虚偽記載容疑で刑事告発を受けたのは5派閥に及んでいる。数千万円分の収入を記載していなかったとされる岸田派も例外ではない。岸田首相は12月に入って慌てて11年間務めた派閥の会長を離脱したが、責任をどう取る考えなのか。

東京地検特捜部は来週にも安倍派の関係先などの強制捜査に乗り出すが、現在、安倍派の疑惑が先行して報道されている。岸田首相は裏金疑惑に関与したとされる同派の最高幹部クラスや副大臣、政務官、補佐官らを次々と更迭し、新体制を構築したとしている。しかし、他の派閥で問題となる議員が政務三役など閣内から出た時にも更迭して新たな人事をするのか。

今回、交代となった安倍派の宮沢博行防衛副大臣は、3年間で140万円の還流を受けたとした上で、派閥側から収支報告書に記載しないでいいとの指示があったと述べた。そうだとすれば、指示したのは誰なのか。そこからたどっていけば指示した大本に行き着くはずだ。当然、岸田派など他の4派閥のケースも解明しなければならない。

「裏金作り」は悪質な政治資金規正法違反であり、政治の世界から一掃されるべきである。首相が党を主導し、「先頭に立って取り組む」と言うのであれば、「適切に対応するよう(自分の)派閥に指示した」という程度では駄目だ。特捜部とは別に、党としての調査を徹底して行うべきである。

その上で、政治資金の透明化を目的とした規正法の見直しや、党として政治資金をどう運用するかの再検討を行い、国民に新たな対応策を丁寧に説明することだ。それができなければ政権の信頼回復はあり得ない。

懸念されるのは、来年度予算編成作業が大詰めを迎えている中での主要閣僚の交代だ。首相は「即戦力」と言うが極めて異例の事態である。官房長官人事にも問題はないのか。親中派筆頭格の林氏の起用により、日米同盟関係に亀裂を生じさせてはならない。

許されぬ国政の停滞

国際情勢が緊迫化する中で、国政の停滞は許されない。低落する自分の政権支持率に直結する目先の「政治とカネ」の問題にだけ「火の玉となって取り組む」と言うのでなく、憲法改正や北朝鮮による拉致問題解決、防衛力の強化などにも全力で取り組まねばならない。

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