【社説】NTT法 「廃止ありき」の姿勢は疑問

NTT法の在り方を検討する自民党のプロジェクトチーム(PT)が「2025年の通常国会をめどに廃止する」と明記した提言をまとめた。

NTTの国際競争力強化を目指すものだが、KDDIやソフトバンク、楽天モバイルなど携帯電話大手は、公平な競争環境が損なわれるとして反発している。PTの「廃止ありき」の姿勢には疑問が残る。

「特別な資産」引き継ぐ

NTT法は、旧日本電信電話公社(電電公社)の民営化に伴う1985年のNTT発足に合わせて制定された。研究開発成果の開示などをNTTに義務付け、グループ会社の在り方も規定している。

しかし光技術を活用した次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」などを公開すれば、NTTの先端技術が海外で利用され、競争力を削ぐ恐れもある。提言は、来年の通常国会でNTT法を改正して開示義務をなくすよう求めた。競争力向上と共に経済安全保障の観点からも改正は妥当だ。

一方、廃止については電気通信事業法の改正など「所要の法改正を講じ次第」としている。だが廃止されれば、公平な競争環境を維持できなくなることが懸念される。

NTTは、電電公社が税金や電話加入権で整備してきた全国の電話線や電柱などの「特別な資産」を引き継いだ。競合他社が有料で借りている光ファイバー網もこうした設備を利用している。NTT法の廃止によって経営の自由度が高まれば、NTTが肥大化して料金の高止まりやサービスの停滞が生じるとの見方も出ている。

提言では、電気通信事業法を改正してNTT東日本・西日本とNTTドコモの統合禁止措置を設けるとしている。それでも競合他社の反発は収まらず、KDDIの高橋誠社長は提言について「NTT1社の意向に沿ったものだ。廃止の議論をするのであれば、オープンな場でする必要がある」と主張した。

自民党は防衛費増額の財源に充てるため、政府が保有するNTT株の売却を検討していた。NTT法は政府に対し「3分の1以上」の株保有を定めており、大量売却に向けてNTT法見直しの議論が始まったが、現在はNTTの国際競争力強化に議論の重点が移っている。

NTT法は、NTTによる全国一律での固定電話サービス提供を定めている。提言ではサービスを「業界全体」で担うよう法整備するとしているが、それでも「特別な資産」を持つNTTの役割は大きい。NTT法が廃止されれば、過疎地域などでサービスを維持できなくなるのではないか。地方の切り捨てがあってはならない。

一定の制約が不可欠

提言の素案では廃止時期について「2025年の通常国会まで」としていたが、「めどに」という表現で党内の反対派や他の事業者に配慮した。

NTTの競争力を高めることは重要だ。ただ、NTTには通信網を通信業者に低廉な価格で貸し出す役割がある。NTTの公益性を保ち、公平な競争環境を維持するには、NTT法などによる一定の制約が不可欠だ。

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