トップオピニオン社説【社説】PISA躍進 一喜一憂せず学ぶ力を育もう

【社説】PISA躍進 一喜一憂せず学ぶ力を育もう

経済協力開発機構(OECD)が昨年実施した国際学習到達度調査「PISA2022」の結果を公表した。新聞各紙とも「『読解力』躍進 日本15位から3位に/理数系もトップクラス」などという見出しが躍った。喜ばしいことだ。

しかしその半面、テスト後のアンケートでは、生徒の自己肯定感が低く、自ら学ぶ意欲もパッとしないままだった。

欠かせぬ教師の頑張り

全3分野のうち日本の平均点は「数学的応用」が前回6位から5位、「読解力」が前回15位から3位、「科学的応用力」が前回5位から2位に順位を上げている。OECD関係者は、日本の成績が今回良かった一因として、新型コロナウイルス蔓延(まんえん)による休校期間が他国と比べ短かったことを挙げている。また、文部科学省は主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)を推進してきた成果の表れだとしている。

コロナ禍によってパソコンやタブレット端末を1人1台給付する方針が前倒しされ、端末の使用に不慣れだった生徒が慣れてきたことも挙げられよう。生まれた時からインターネット環境が整備されている生徒たちにとって、文房具的な、使い勝手の良いものとなったことは確かだ。またコロナ禍の中で、現場の教師たちはできる限り対面授業の時間を確保しようと努め、プリントを配布し、学習の機会を保ってきたという努力の成果でもある。

東京都渋谷区立西原小学校の曾我泉校長はオンラインセミナーで、新型コロナの蔓延による“休校の嵐”が吹き荒れたころ導入した端末が、ネット環境と共に更新時期に来ていると語っている。一方、端末利用の課題としては「先生たちが使いこなせているか」「生徒が学習時間外に端末で遊んでないか」というものがあるという。

先生たちは「できることから順番に」を合言葉に、出欠の点呼をはじめ、校務の教職員間での連絡などで徐々に使えるようになってきている。だが、生徒が学習時間外での遊びに使っている点を修正するのは難しいと指摘している。あまり厳しくすると、ネットを介した学び、「個別最適な学び」に向けた生徒のやる気を削(そ)いでしまうことが気掛かりだという。

最近の子供は、分からないことがあると、すぐにスマートフォンで答えを得ようとする。自分で調べ、考えることによって「考える力」が育まれ、知識が身に付く。ジャーナリストの池上彰氏は諸問題を分かりやすく解説することで知られているが、入り口で分かったような気になり、学びを深めることにつながらなければ意味がないと語っている。

備えたい問題解決能力

これまでのPISAでは、テスト後のアンケートで日本の生徒の自己肯定感、幸福度の低い点が課題とされてきた。

自ら進んで勉強し、学ぶ喜びを感じながらの学習であるかどうか。この点において、今回のアンケートも芳しい結果ではなかった。子供たちが個別最適な学びに向かう時、目の前の諸問題を解決する力を備えてもらいたい。

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