【社説】派閥資金不記載 自民党は「裏金」問題に対処を

自民党5派閥の政治資金パーティーを巡る政治資金収支報告書不記載問題が明るみになり、岸田文雄首相は派閥によるパーティー、忘年会、新年会を自粛する方針を示した。しかし、議員に課せられるパーティー券の販売ノルマがあるほか、ノルマを超えた金額が派閥から議員に環流され、それが政治資金収支報告書に記載されず「裏金」となった疑いがある。きちんとした対処を求めたい。

パーティー券収入を還流

自民党ガバナンスコードは政治とカネの問題について、次のように規定している。「党所属の国会議員の政治資金の取り扱い等に関するコンプライアンス上の疑義があった場合には、疑念を持たれた議員は、政治資金規正法及び政党助成法等の趣旨に則り、国民に対して丁寧な説明を行う。また本党は、党則、規律規約及び倫理憲章に基づき厳正にこれに対処する」

今まさに問われるのは、自民党が党、派閥、議員のそれぞれのレベルで、ガバナンスコードに明記した通り国民に説明責任を果たし、厳正な対処を示すことだ。年末年始に忘年会、新年会を控える、パーティーを自粛するなどは、その前段階と理解したい。

5派閥のパーティー収入を巡り約4000万円分の政治資金収支報告書不記載の疑いがあるとの告発を受け、東京地検特捜部が捜査に当たっている。首相は党内各派に政治資金収支報告書の訂正などを指示した。

政治資金規正法では、年間5万円超の寄付や1件当たり20万円超のパーティー券購入があった場合、同報告書に相手の氏名や住所を記載しなければならない。また、国会議員の関連政治団体は1件1万円以上の支出について領収書の写しを添付して報告しなければならない。

不記載が単なるミスの場合もあろう。しかし、意図的であれば問題だ。東京地検特捜部の任意の事情聴取に応じた関係者によれば、議員にパーティー券販売のノルマがあり、ノルマとして設定された目標額を超えた売上金は議員にキックバックされたが、政治資金収支報告書に記載されていない。このような環流資金が事実上の「裏金」となって、自民党最大派閥の「清和政策研究会」(安倍派)では総額1億円を超えるとみられている。

自民党にガバナンスコードを導入することは、岸田氏が一昨年の総裁選で掲げた目玉公約だった。その下で、昨年11月に寺田稔総務相が政治資金問題で閣僚を辞任、同12月には薗浦健太郎衆院議員が政治資金収支報告書不記載で議員辞職・離党をする厳しい形で責任を取っている。

「裏金」問題に関して閣内にある松野博一官房長官らは「政府の立場」を理由に言及を避けている。今後、東京地検の捜査次第で岸田政権の前例に則して閣僚辞任、議員辞職・離党の展開もあって不思議ではない。

“大型補選”の可能性も

薗浦氏は罰金100万円、公民権停止3年を科せられた。5派閥の不記載問題は多くの議員を巻き込み、次回の衆参補欠選挙が“大型補選”となる可能性も排除できない。自民党の責任ある対処と、有権者の審判が待たれよう。

spot_img