【社説】子供の視力低下 スマホ利用抑制策が必要だ

子供たちの視力低下が急速に進んでいる。スマートフォンやタブレット端末を近くで見る時間が長くなったことが要因だ。文部科学省は、画面から30㌢以上目を離すよう注意を呼び掛けているが、それでは不十分だ。スマホの利用時間を減らす対策が必要だ。

1・0未満の割合増加

文科省の2022年度学校保健統計調査によると、裸眼視力が1・0未満の割合は、小中高校いずれも過去最高を更新した。小学生は37・88%(前年度比1・01●増)、中学生は61・23%(同0・57●増)、高校生は71・56%(同0・75●増)。学年別では、小1が23・20%、小6が53・19%、中3が65・65%と、学年が上がるほど悪化している。

調査は1948年度から毎年行われているが、教室の最前列に座っても黒板の文字が読みづらいとされる0・3未満の小学生は11・9%で、2005年度の調査と比べて倍増している。

文科省は「家庭でスマートフォンの利用時間が増加するなど、児童生徒を取り巻く環境の変化が原因と考えられる」としている。デジタル端末は目から30㌢以上離さない場合、紙の教科書より目の疲れを感じる。手元で操作するため、至近距離で長時間画面を凝視しやすい。

文科省は予防策として、デジタル端末を見る場合、目を画面から30㌢以上離すよう呼び掛けているが、それだけでは子供たちの視力低下に歯止めをかけることは難しい。デジタル端末から放出されるブルーライトが目に与える負荷や健康への影響も指摘されている。子供たちのスマホ利用時間を減らすための施策を強く打ち出すべきだ。

いまやデジタル端末は、生活に欠かせない。教育現場でも普及し、授業や家庭学習でも使う所が増えている。しかし子供たちは、学習の何倍もの時間をゲームやSNSの利用に費やしているのが現実だ。それがいじめに繋がったり、学力低下の原因となったりしているとの調査結果も出ている。

いわゆるスマホ脳疲労がもたらす認知機能の低下など、脳科学の分野からもその弊害が指摘されている。とりわけ、成長期の子供たちへの影響は大人に比べ大きい。スマホの利用時間を減らすことは、子供たちの目だけでなく、心身の健康を守るためにも急務である。

ユネスコ(国連教育科学文化機関)は今年7月、スマホは子供の集中力を削ぎ、学習に悪影響を与えるとして、学校での使用を禁じるよう勧告した。ユネスコの調査によると、スマホを見ている時間が長いほど、幸福感、好奇心、自制心が低下し、不安、うつ病の診断が増加するとの報告も出ている。

国は明確な方針打ち出せ

英国では休み時間を含めて学校でのスマホの使用を禁止することが決まった。日本では09年に小中学校への持ち込みを原則禁止とし、20年に中学生は条件付きで容認の方針を出しているが、問題は家庭でのスマホの利用だ。親が子供を諭し指導するためには、国がはっきりと抑制の方針を打ち出す必要がある。その下で地方の教育委員会など現場で具体策を検討し実施すべき時に来ている。

 ●=ポイント

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