【社説】オスプレイ墜落 救助と安全確保に万全尽くせ

米軍横田基地所属の輸送機CV22オスプレイ1機が鹿児島県・屋久島沖の海上に墜落した。乗組員1人の死亡が確認されたほか、機体の残骸と思われるものが回収された。日本国内で起きたオスプレイの事故で、死者が出たのは初めて。米軍と自衛隊、海上保安庁や漁業関係者は、行方不明の7名の乗組員の捜索救助活動を続けている。

左エンジンから出火か

墜落したオスプレイは通常の訓練を行っており、山口県の岩国基地から沖縄県の嘉手納基地に向かう途中だった。亡くなられた米軍兵士に弔意を表するとともに、人命確保を最優先し、引き続き乗組員の発見と救助に全力を挙げてもらいたい。

事故を受け、日本政府は米軍に安全が確認できるまでは日本国内の全てのオスプレイの飛行を中止するよう要請。陸上自衛隊は保有するオスプレイの飛行を停止させた。これに対し米軍は、空軍が運用するCV22の飛行は停止させたが、沖縄県に配備している海兵隊のオスプレイは飛行を続けている。

オスプレイは開発当時、安全性に疑義が呈されたが、部隊配備後は事故率が低下している。ただ空軍が運用するオスプレイは飛行時間が少なく、特殊訓練などに多く用いられることから海兵隊よりも高い事故率が報告されている。これに加えて日本政府の申し入れも考慮し、米軍は空軍のオスプレイは一時飛行を停止させたものと思われる。

しかし、事故では左エンジンから火が出ていたとの目撃情報があり、エンジントラブルなどこれまでとは異なる重大な問題が関係している可能性もある。さらに、オスプレイが配備されている基地周辺住民の不安が高まっている。安全確保のため、日本国内で運用するオスプレイ全機の飛行を一時停止させるよう政府は改めて米側に申し入れるべきではないか。

米軍機事故の報に接し、陸自オスプレイの配備が間もなく始まる佐賀県でも心配や不安の声が強まっている。防衛省と佐賀県との長期にわたる協議折衝を経て、今春、千葉県の木更津駐屯地に暫定配備中の陸自オスプレイを2025年までに佐賀空港に隣接する駐屯地に移駐させることで合意が成立し、先月末に初めて陸自オスプレイが地元に飛来したばかりだった。そうした折、最悪のタイミングでの米軍機事故となった。

沖縄県・尖閣諸島の防衛や台湾有事をにらみ、自衛隊は防衛力の“南西シフト”を進めている。陸自オスプレイの佐賀県への配備もその一環であり、日本の防衛にとって重要な事業である。松野博一官房長官は米軍機事故を巡り、陸自オスプレイの佐賀配備計画は変更しないとの考えを示したが、米軍および自衛隊が防衛任務を全うするには、日々の活動に対する基地周辺住民の理解と支持、それに信頼を得ることが何よりも大切だ。

地元説明に真摯な努力を

そのためには、事故原因を早期に究明し、再発防止の施策を講じるとともに、その内容を地元の住民や関係当局に説明する真摯(しんし)な努力が求められる。共にオスプレイを運用している日米両国は、一体となって取り組んでもらいたい。

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