【社説】ウクライナ情勢 露軍撤収求め国際支援継続を

ウクライナにロシアが本格的な軍事侵攻を開始してから2度目の冬を迎え、発電所などエネルギーインフラを狙ったロシア軍の攻撃が懸念される。

昨年も厳冬期にウクライナはロシア軍の空爆によって暖房設備が使えなくなり、空襲警報と爆音の恐怖の中、氷点下の屋内で多くの住民が凍り付く寒さを耐え忍んだ。ロシアの酷(むご)い侵略を阻止するため、国際社会は結束してウクライナ支援を継続すべきだ。

ドローン攻撃で首都停電

ロシア軍はウクライナの首都キーウに対し、侵略を開始してから最大規模となるドローン攻撃を行った。この攻撃で高架線への電力供給を止める被害をもたらし、首都中心部では停電が発生した。ウクライナ当局は75機のドローンのうち74機を撃墜したと発表したが、落下する残骸による建物損傷などの被害が出ている。

ウクライナのゼレンスキー大統領は12日のビデオ演説で「ロシアは冬に向けて準備している。われわれは防衛に全ての注意を傾けるべきだ」と述べ、昨冬のように発電所などのインフラを標的とした攻撃が長期間、集中的に行われることに警戒を呼び掛けている。ウクライナは米国などから防空システムの供与を受け、成果を発揮しているが、一方的に侵略を受ける劣勢は否めない。

昨年のこの時期、日本政府はウクライナに国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通して発電機や太陽光で充電し発光できる「ソーラー・ランタン」、ポータブル電源など約257万㌦の緊急無償資金協力を行った。厳冬期に暖を取る日用品などが有用になることから、引き続き各国と共に人道支援に努めていくべきだ。

また、ウクライナへの侵略以来、住民虐殺、子供の集団誘拐、ダム破壊などロシアは戦争犯罪を続けてもなお国連などで厚顔無恥な自己正当化を行っている。しかし、それでも粘り強く国際人道法を説く取り組みは必要であろう。氷点下の環境に何百万の住民を置くのは命の危険が非常に高いのであり、厳冬期に電力供給を断つ攻撃はやめるべきである。

ロシア軍によって支配されるウクライナ東部は、塹壕(ざんごう)戦となり膠着(こうちゃく)状態になっている。ウクライナの反転攻勢を期待した米国や欧州諸国では、戦いの長期化や難民の受け入れなどから支援疲れが増すとともに、世界最大の国土を持つ資源大国のロシアを相手に悲観的な世論も出ている。

だが、主権国家をあからさまに侵略したロシアの暴行を許しては、国際秩序が破壊されてしまう。イスラム組織ハマスのイスラエルに対するテロと奇襲によって、国際的な関心が逸(そ)れることも懸念される。

侵略への対応緩めるな

北大西洋条約機構(NATO)はブリュッセルで外相会合を開き、ウクライナ支援の継続を改めて確認するとともに、ウクライナのNATO加盟実現に向けた取り組みを進める構えだ。

ロシアの侵略を食い止めるため、ウクライナの安全を保障する一致結束した国際的対応を緩めてはならない。

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