【社説】政権支持率最低 見透かされる場当たり主義

今月のマスコミ各種の世論調査によると、岸田政権の支持率が危険水域の20%台となっている。不支持率は7割前後に迫り、2012年に自民党が政権復帰して以降、歴代内閣の最低を記録した調査結果もある。支持率の底が抜けたとの指摘まであり低落傾向は続こう。その背景に定額減税など経済政策への評価が低いことなどが挙げられているが、それだけではない。

世論迎合の政治手法

岸田文雄首相の政治手法が世論迎合の場当たり主義で、その先にあるのが政権の延命であることを国民に見透かされてしまったことがある。所信表明演説で首相は「経済、経済、経済」と叫んだが、経済政策はもとより、憲法改正をはじめとした国家の最重要の緊急課題に本気で取り組む姿勢を示し、結果を出さなければ支持率の反転はあり得ない。

政府は今月、物価高対策などを盛り込んだ総合経済対策を決定した。与党内の反対を抑えて岸田首相肝入りの減税策を並べただけに、首相は支持率回復の切り札になると期待していた。ところが、各種世論調査では「評価しない」が過半数を占めるなど首相の読みは外れた。

減税策の恩恵が国民に届くのが来年後半以降であり、物価上昇に間に合わないと国民は肌で感じている。むしろ選挙対策と捉え、次に待つ「子供・子育て政策」や防衛費増額のための増税論議が控えていることを認識している。岸田首相に効果のある中長期的な経済対策がなく場当たり的な発言をするため、国民の不安は増すばかりなのだ。

ウクライナや中東での深刻な情勢や台湾有事を念頭に置いた国家の安全保障を強化し、緊急事態に備えるために憲法改正は早急に実現されなければならない。岸田首相は「リベラルの政治家と言われているからこそ自分のときにやりたい」と述べたことがあるが、改憲は首相の風評を拭うためにやるのでない。国家に必要だからやるのだ。動機がそもそも間違っている。

その場しのぎの典型例は北朝鮮による拉致問題解決姿勢にも表れている。拉致被害者家族らがこのほど開いた集会で、岸田首相は「全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現へ全力で果断に取り組む」と述べた。だが、この言葉は首相就任以来全く変わっていない。被害者家族の人たちはどういう思いで、毎度聞いて失望してきたことか。

山田太郎文部科学政務官、柿沢未途法務副大臣、神田憲次財務副大臣の不祥事による辞任、自民党5派閥のパーティー収入過少報告問題なども政権にマイナスに影響している。LGBT理解増進法の成立などで、保守岩盤層は崩れ出している。自民党支持率の下落は止まらず、民主党からの政権奪取以来、初めて20%を切る世論調査結果もあり深刻な状況だ。

信念持って哲学語れ

岸田首相は、政権支持率アップを最優先して目先の弥縫(びぼう)策を連発する姿勢を猛省し根本から改めるべきだ。

「新しい資本主義」「国柄を守る」とは何かといった哲学を信念を持って真剣に国民に語り掛けていかねば、信頼回復はできまい。

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