【社説】弁護士の信頼性 公正さ担保する体制づくりを

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や「SMILE―UP.」(旧ジャニーズ事務所)を巡り、過去にさかのぼって被害者が現れ、被害者に代わって提訴する弁護士の動きが活発になっている。

被害者救済が重要なのは言うまでもない。だが、弁護士の公正さも重要だ。弁護士は依頼者に誠実に対応するという前提があるが、現実は必ずしもそうではない。自治に基づく弁護士会の在り方を含めて公正さを担保するための体制改善が必要だ。

巨額横領などの非行事例

「品位を失うべき非行」を行うと、弁護士は所属弁護士会から懲戒処分を受ける。日本弁護士連合会(日弁連)は2022年の懲戒処分者を102人と発表した。最近5年間で平均すると、毎年99人が処分対象となった計算になる。弁護士による非行事例の一つは、成年後見人として管理する高齢者の財産や「遺言執行者」として預かった相続財産の横領や未返還だ。

読売新聞は、最近5年間(18~22年)のうち被害額100万円以上のケースについて調べた結果、「横領や未返還は総額約20億円」「起訴や懲戒処分は少なくとも50人」と報じた。例えば東京弁護士会に所属していた一人は、1億6600万円を横領し、昨年10月に東京地裁で懲役7年の実刑判決が確定している。

過去に巨額横領事件が相次いだため、日弁連は13年に各弁護士の預かり金は専用口座で管理することを義務化し、17年には金融機関名と口座番号の所属弁護士会への届け出も課した。ところが、読売が報じた50人のうち半数以上の28人の非行は17年以降のものだ。口座の入出金の随時チェックは困難であり、弁護士会の調査に強制力がないことも原因だろう。日弁連は不正防止の機能を果たしていない。

非行弁護士に対する懲戒執行にも問題がある。懲役7年の判決を受けた弁護士への懲戒請求は、判決が確定するまで東京弁護士会が処分を実施しなかったため、それまでの期間に同じ弁護士による被害が拡大していたのだ。被害者の憤りの矛先は非行弁護士のみならず、弁護士会にも向けられている。

自治を尊重する日本の弁護士は、このままで国民の信頼を保てるのか。旧統一教会は政府の解散命令請求を受け、今月7日に記者会見で被害者救済に最大100億円の供託金を国に預けると申し出た。ところが日弁連は、教団の財産散逸を防ぐ仕組みの必要性や被害額増加の可能性などを2日に会長名で声明として発表したままである。弁護士による刑法犯、業務上横領が後を絶たず、これを管理監督できない日弁連が今後、建設的な対応を示すことはできるのか。

規律強化が喫緊の課題

早稲田大で「弁護士の行為規範」を研究する石田京子教授によると、米国では明文によって弁護士を規律してきた歴史があり、ルール見直しが毎年のように行われる。一方、日本では日弁連の「職務基本規程」がようやく04年に制定されたが、その後は改正されていない。最高裁からも弁護士規律の強化が日弁連に課された喫緊の課題だと言い渡されている。職務の公正さを担保する体制づくりが急務だ。

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