【社説】経済版2プラス2 日米は中国の「威圧」に対抗を

日米の外務・経済閣僚による「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)が米サンフランシスコで行われ、重要鉱物や半導体などのサプライチェーン(供給網)強化に向けた連携を深めるための作業部会設置で合意した。日米は経済安全保障の分野で協力し、中国の「経済的威圧」に対抗すべきだ。

「戦略的協調を強化」

経済版2プラス2の開催は昨年7月以来2回目。日本からは西村康稔経済産業相、上川陽子外相、米側はブリンケン国務長官、レモンド商務長官が出席した。共同声明では、中国やロシアへの対抗を念頭に「経済的強靱(きょうじん)性、経済安全保障に関する戦略的協調を強化する」と表明した。

経済安保とは外交・安保政策と経済政策に一体的に取り組むことだ。新型コロナウイルスの感染拡大やロシアによるウクライナ侵略、さらに米中の覇権争いなど不安定化する世界情勢の中で、各国において経済安保が注目されている。

日本では2022年5月、「供給網強化」「基幹インフラの事前審査」「先端技術の官民協力」「軍事転用可能な機微技術の特許非公開」の4分野を柱とする経済安保推進法が成立した。供給網強化では、半導体や医薬品、先端電池、レアアース(希土類)など重要鉱物を政省令で「特定重要物資」に指定し、金融・財政支援策を講じる。基幹インフラについては電気、航空、金融など14分野のシステムを事前審査し、安保上の脅威となる外国製品の導入を防ぎサイバー攻撃対策の強化を促すというものだ。

さらに経産省は今年10月末、産業支援、産業防衛、国際連携から成る経済安保の新たなアクションプラン(行動計画)を発表した。こうした政策を踏まえ、米国と協力して経済安保を強化するためにも、経済版2プラス2を活用する必要がある。

声明は、貿易相手国に圧力をかける「経済的威圧」への対応や「透明、強靱かつ持続可能な供給網戦略の策定」などで連携すると明記した。また、食品や農産物の輸入制限は「科学的証拠に基づくべきだ」と強調。東京電力福島第1原発の処理水放出を受けた日本産水産物への輸入規制の撤廃を求めた。

中国は処理水を「核汚染水」と表現し、海洋放出が始まった8月下旬から日本産水産物の全面禁輸を続けている。中国にとって今後30年程度かかる放出は、覇権を争う米国の同盟国である日本を揺さぶるための絶好の外交カードだと言えよう。

中国は日本に対し、10年9月に沖縄県・尖閣諸島沖で発生した中国漁船領海侵犯事件の後にレアアースの輸出を規制した。中国が自らに好ましくない状況を変えるため威圧を使うのは常套(じょうとう)手段だ。経済安保を確保するには、中国への貿易依存度を引き下げるべきだ。

民主国家との連携深めよ

日米の経済版2プラス2は重要な枠組みだが、グローバル化が進展する中、2国間の協力だけではカバーできる範囲が限定される。

経済安保を強化するには、民主的価値観を共有する国々との連携を深めていくことが緊要である。

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