【社説】大阪万博撤退 開催の延期も柔軟に検討せよ

大阪・関西万博は開幕まで1年半に迫っているが、建築資材の高騰に加えパビリオンの建設に当たる労働者不足も深刻になっており、海外パビリオンを出展する参加予定国の中から撤退する国も現れている。

盛り上がりに欠けてしまうのであれば建設方式の見直しだけでなく、延期も含めて柔軟に検討すべきである。

コスト高で懸念広がる

大阪万博に参加予定の国・地域の担当者を集めた国際会議では、コスト高に懸念を表明する国が相次ぎ、メキシコとエストニアは撤退したことが明らかになった。残念なことだが、苦しい決断を下さざるを得ない海外諸国の事情もある。

国際博覧会の大きな見どころは、参加国・地域が独自に建設する「タイプA」方式のパビリオンであり、その建設が遅延していることは大きな不安材料だ。出展予定の約50の参加国が無事にパビリオンを仕上げ、より多くの国から観客が来場することが大切であることは言うまでもない。

2025年の国際博覧会開催地が大阪に決まった18年当時、会場建設費を1250億円と計画していたが、政府は今月、最大2350億円に増額する日本国際博覧会協会の試算を受け入れる決定をした。2倍近い予算の上振れが示すコスト高は深刻だ。このまま参加国が減っていくことは止められない可能性がある。

増額して税金をつぎ込むことに国民の反応はよくない。NHKの世論調査では、国民の負担が増えることに「納得できない」が77%だった。開催地、大阪をはじめ関西地方の振興と発展を願う当初の期待に反して、にじり寄る負担増の上、無理を重ねて予定に間に合わせて開催したとしても、興行的に成功とは言えない結果を招いてしまえばわが国にとっても地元にとっても不名誉となりかねない。

釈明する理由は十分にある。20年に世界を震撼(しんかん)させた新型コロナウイルス感染拡大、22年のロシアによるウクライナ侵略は、大阪万博開催が決まった当時は誰も予想できなかったことだ。コロナの世界流行(パンデミック)は世界の経済活動をストップさせ、ワクチン開発によって各国の規制解除と共に再開した経済活動は、サプライチェーンが麻痺(まひ)するほどの資材不足を招いた。

インフレーションが進む欧米では、政策金利が4~5%台に上昇。わが国の政策金利はマイナス0・1%で、記録的な円安を招くようになった。これも輸入資材のコスト高につながっている。

五輪の例も踏まえ判断を

さらに、ロシアのウクライナ侵略が追い打ちをかけた。かつてない国際社会の厳しい対露制裁とロシアの対抗措置によって、エネルギーや食料の高騰を引き起こしている。イスラエルでもテロ組織ハマス掃討作戦がパレスチナ自治区ガザを戦地とするなど、平和的な催しである国際博覧会に戦乱の影が差し込んでいる。

パンデミックによって東京五輪・パラリンピックが延期したように、大阪万博の延期も柔軟に検討すべきだ。

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