【社説】大阪・関西万博 開催意義の発信強化に努めよ

2025年大阪・関西万博に参加を表明していたメキシコなど複数の国が、パビリオンの出展から撤退する意向を日本国際博覧会協会(万博協会)に伝えたことが分かった。

参加を表明していた153の国・地域のうち、撤退の動きが明らかになるのは初めて。政府は万博協会と協力し、簡易型パビリオンの建設を加速してメキシコなどの参加の道を開くとともに、国内外で開催意義の発信強化に努めて機運を醸成する必要がある。

メキシコなど撤退の意向

メキシコは、参加国が自前で建設する「タイプA」方式を希望していた。ただ24年6月に予定されるメキシコ大統領選の影響で予算の確保が不透明となっており、撤退の意向につながった。予算が限られている新興国など複数の国も同様の意向を示したもようだ。

タイプAは当初60カ国が選択する予定だったが、これまでに建設業者と契約したのは24カ国にとどまる。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれた前回の万博が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が当初予定の20年10月から1年遅れたことが影を落としている。

しかし万博が文明の発展に寄与するものである以上、参加国・地域の減少は避けることが望ましい。撤退の意向を示している国には、日本側が整備する簡易型のパビリオン「タイプX」などへの出展を呼び掛けて慰留に努める必要がある。一方、参加を表明していない数カ国がパビリオンの出展を計画しており、参加国が増える可能性もあることは明るいニュースだ。

資材価格や人件費の高騰などを受け、会場建設費は当初想定の約1・9倍の最大2350億円に増額となる。国、大阪府・市、経済界の3者が3分の1ずつ負担する。税金を投入して建設費を増やす以上、準備の遅れを取り戻し、何としても成功に導かなければならない。

大阪・関西万博のテーマは、健康寿命の延伸や共生社会の実現をうたう「いのち輝く未来社会のデザイン」。平均寿命が世界一で健康意識の高い日本からこうしたテーマを発信することで、人類の福祉に大きく貢献することが求められる。

来場者数は2820万人と見込まれている。会場では、次世代型の移動手段と期待される「空飛ぶクルマ」の商用運航や、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心筋細胞シートを使った「動く心臓モデル」などの展示が予定されている。外国人観光客の増加や経済成長につなげたい。

ただ現状では、万博を盛り上げる機運が十分に高まっているとは言えない。背景には、大阪を地盤とする日本維新の会が岸田政権との対決姿勢に傾斜し、安倍、菅両政権時代と比べて官邸とのパイプが細くなったことがある。自民党内には今後の各種選挙に向け、万博の成功で維新が得点を稼ぐことを懸念する向きもあるようだ。

政府の責任で成功させよ

だが、こうした事情で準備に遅れが生じるようでは困る。万博は国を挙げてのイベントである。政府が責任を持って成功させなければならない。

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