【社説】家庭連合会見 人を愛し国を愛し変革を示せ

文部科学省が東京地方裁判所に世界平和統一家庭連合(家庭連合)の宗教法人法に基づく解散命令請求を「高額献金を勧誘するなどの不法行為」などを理由に行ったことについて、家庭連合の田中富広会長が記者会見を行い、反省とおわびを表明した。今後、教団が社会的信頼を回復するには相当の努力が要るだろう。

「指導不足」をわびる

田中会長は、2009年に同教団が行ったコンプライアンス宣言に基づき、昨年の臨時国会で制定された「被害者救済法」(法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律)をはじめとする法令順守に努め、日本の国益に役立つ活動をしていくことを強調した。

韓国発祥の宗教のため「反日」批判が起きていることについて、「天を愛し、人を愛し、国を愛する愛天愛人愛国」の教えがあると指摘し、「教祖の言葉を切り取る」レッテル貼りに憂慮を示した。日本の宗教法人であれば愛国的とは限らない。宗教団体によっては革新イデオロギーに共感する例もある。

その中で田中会長が「愛国」の教えを指摘した通り、日本を尊重しているにもかかわらず、あたかも軽視しているかの「反日」が誤解であるならば解いていかなければならないだろう。

教団が批判の矢面に立ったのは、昨年7月の安倍晋三元首相銃撃事件からだった。選挙遊説中の安倍氏を銃撃して逮捕され、大阪拘置所に勾留されている被告が、母親の同教団への入信と高額献金に恨みを抱いていたとされ、騒然とした教団批判の世論が形成された。大物政治家を暗殺した政治テロよりも教団ばかりに対する批判が洪水のようにメディアに氾濫したことは、異様な現象だった。

田中会長は銃撃事件後の昨年7月、8月の2回行った記者会見では「事件に巻き込まれた」という心境だったという。しかし、その後の元信者、現役信者からの返金相談を受けるに従い、「当法人の指導が行き渡らず不足」だったと認識し、率直にわびている。遅いとの批判はあるが、その姿勢は評価したい。

具体的に国に供託金最大100億円を預ける用意があることを表明したが、法律に根拠がなく実現は不透明だ。各党や政府のコメントは厳しい。まだ裁判の中で被害者と被害額が確定しないこともあり、明確な「謝罪」を避けた中での供託金提案には批判もある。だが「資金移転」を疑う声に対し、償いの用意を大胆に表明した意義は小さくないだろう。

被害を訴える元信者、現役信者が多数存在したことは、「人を愛する」ことに課題があったと言わざるを得ない。心に痛みを感じるまでの行き過ぎが「信仰」を理由としたものならば、どのような指導が適切なのか改革の課題となる。

解散請求巡る裁判を注視

一方、田中会長は、文科省による解散請求について「信教の自由から受け入れられない」と主張した。

解散請求は「民法上の不法行為を含む」との昨年10月19日の宗教法人法の解釈変更によって推し進められた。解散請求を巡る裁判を注視したい。

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