【社説】ハマスの誘拐 人質処刑で自治区は守れない

イスラエルを奇襲したイスラム組織ハマスは、イスラエルの一般市民や外国人を拉致して人質にし、イスラエルが報復攻撃をすれば処刑すると脅しをかけている。手段を選ばない残虐なテロリストの行為に国際非難は高まっており、実効支配するパレスチナ自治区ガザをイスラエルから守るどころか窮地に陥れるものだ。

外国人や幼い子供も

ハマスの戦闘員がイスラエルの民家を襲い、外国人や幼い子供まで連れ去られたという証言が相次いでいる。民間人を襲い、多くの死傷者を出したほか、計画的に人質を取るために市民を誘拐していることが大きな懸念を呼んでいる。

人質を誘拐して拘束した様子の動画はハマスによってSNSに投稿されており、人質の家族や親族はじめ敵対国に社会的動揺を起こそうとする手法は、かつて過激派組織「イスラム国」(IS)が行った残忍な行動と似通っている。

しかも誘拐は見境なく行われており、生後9カ月と4歳の子供と母親が誘拐されたケースや、外国人ではタイの労働者11人が拉致され、バイデン米大統領も米国人が含まれる可能性があると述べている。

イスラエル人だけでなく外国の国民までも人質に取ることで、イスラエル軍のガザ攻撃への牽制(けんせい)を強める思惑だろうが、むしろパレスチナ自治区の国際的な立場を傷つける行為でしかない。イスラエル軍はガザを包囲して、今後は地上軍を投入することをガラント国防相が強調しており、全くの逆効果だ。

ハマスの残虐性がますます中東和平を遠くに追いやる恐れがある。しかも、米国が仲介するイスラエルとサウジアラビアの国交正常化交渉への反発からの攻撃だとすれば、イスラエルの存在を許さないイスラム世界の中の根深い宗教的感情があり解決も難しい。関与を否定しながらもハマスのイスラエル攻撃を歓迎しているイランには「イスラエルを地図から消す」と発言した大統領がいた。

イランがハマスやレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラを支援していることは公然たる事実であり、武力につながる支援を断ち切る国際的な取り組みを強化する必要がある。パレスチナ自治区をハマスの実効支配から脱却させるべきだ。

国連安保理は緊急の非公開会合で、ハマスのイスラエル攻撃への対応を協議し、ハマスが連れ去った人質の解放についても話し合われた。イスラエルの国連大使が「われわれが目撃しているのは野蛮な戦争犯罪だ」と主張した通り、ハマスのテロ行為には非難声明や決議がなされてしかるべきだ。

露はウクライナ人解放を

一方、ウクライナを侵略しているロシアのラブロフ外相は、イスラエルとハマスの即時停戦を呼び掛け、民間人の殺害や誘拐は容認できないと述べた。ロシアはウクライナの民間人を殺害し、児童ら多数の人々を連れ去った。国際刑事裁判所はプーチン大統領に戦争犯罪の疑いで逮捕状を出している。自らもウクライナから即時撤収し連れ去ったウクライナ人を解放すべきである。

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