【社説】タリバン政権 国際社会との対話深めよ

アフガニスタンでタリバン暫定政権が復権して2年余り。人権侵害、政治的抑圧の報道が後を絶たず、政権発足時の「約束」は守られていない。正式承認する国もなく、このままでは国際社会から取り残されるばかりだ。

国民の7割に支援必要

世界保健機関(WHO)は、アフガンの医療が逼迫(ひっぱく)しているとして国際社会に支援を要請した。タリバン政権下で依然続く人道危機に加え、干ばつ、自然災害がこれに拍車を掛けた。

国連人道問題調整事務所(OCHA)の6月の報告によると、2880万人が人道支援を必要としている。2021年8月から1040万人の増加だ。人口4000万人強の約7割が支援を必要としていることになる。

WHOのテドロス事務局長は「状況は非常に厳しく、リソース不足、医療従事者と施設の予算不足のため無数の命が危険にさらされている。一番の被害者は子供と女性だ」と支援を呼び掛けた。タリバン政権下で独自のイスラム解釈による統治が続けられた結果だ。中でも女性の就業、教育への制限が問題視されている。

女性の中高等教育が禁止され、国連機関などでの女性の就労も禁止された。7月には美容院の閉鎖が命じられ、6万人が失職するという。もともと女性の就業率は低く、さらに社会参加の道が閉ざされることになる。これらの措置が、アフガンの社会的、経済的発展の阻害要因になることは明らかだ。

文化・芸術への圧迫も続く。7月末には、「宗教警察」に当たる勧善懲悪省が、楽器を焼却する写真を公開、演奏も禁止すると発表した。2年前の政権復活時に、全ての国民を代表する「包括的」な政府を樹立すると国際社会に約束したが、それらはことごとく破られている。

タリバン政権は発足後間もなく、勧善懲悪省を立ち上げた。同省は1996~2001年のタリバン政権下で、政治的抑圧、人権侵害で批判された経緯があり、旧政権から統治への姿勢は変わっていない。

米、国連の後押しを受けた前政権の関係者への報復を行わないとの約束も守られていない。国連アフガニスタン支援団(UNAMA)の発表によると、タリバン政権発足以降、前政権の治安関係者218人が正当な法的手続きを経ずに処刑された。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは「タリバンは政権掌握時に、治安部隊の元メンバーへの恩赦を約束したが、地方の治安部隊幹部らによる報復は止まらなかった」と指摘。「これらの殺害を止め、犠牲者の家族に補償する責任はタリバンにある」と改善を要求した。

このままでは、各国からの制裁の解除も望めない。7月末に米国とタリバン政権との交渉がカタールで行われたことは一つの希望だ。しかし、制裁解除を求めるタリバン側と、人権侵害の停止などを求める米側との間で今のところ問題解決の糸口は見えてこない。

孤立回避へ融和策模索を

これでは自らの首を絞めるばかりだ。タリバン政権は孤立回避へ、国際社会との融和策を模索すべきだ。

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