【社説】BRICS会議 中露の反G7外交に警戒せよ

新興5カ国(BRICS)首脳会議に出席した首脳ら。左から、ブラジルのルラ大統領、中国の習近平国家主席、南アフリカ共和国のラマポーザ大統領、インドのモディ首相、ロシアのラブロフ外相=ヨハネスブルク、2023年8月23日(UPI)

ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)首脳会議が南アフリカで開催されており、ロシアと中国が加盟国拡大に向けてイニシアチブを取っている。

「力による現状変更」を進める中露は、国際社会からの非難や制裁が及ばない影響圏を広げようとするとみられるが、BRICSの枠組みを利用すべきではない。

新興・途上国に加盟促す

ポスト冷戦を経て今世紀に入り経済発展が著しい新興国として注目されたBRICSは、先進7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)の国際会議が存在する一方で、新たな協議体として頭角を現してきた。経済的な相互利益を追求するものの、首脳会議では各国が抱える民族・宗教対立、治安、人権など国内問題に「不干渉」の立場を互いに取っている。

しかし、体制の違いは歴然としている。最も経済発展した中国は依然として共産党独裁体制のままだ。ロシアは大統領選挙も議会選挙も行われる民主主義体制に移行したが、プーチン大統領は徐々に強権に訴えて野党弾圧を行うようになり、憲法改正によって大統領任期を延ばすことで半永久的な独裁政権を築いている。

民主主義国家であるブラジル、インド、南アフリカは、中露の国際問題や人権問題に物を言えない国になっている。ロシアのウクライナ侵略という顕著な国際法違反に対しても、国連での対露非難決議にインド、中国、南アフリカは棄権、ブラジルは賛成したが対露経済制裁には反対を表明している。

BRICSの経済的、政治的な繋(つな)がりから、政治弾圧や宗教弾圧を厳しく批判できず、明白な侵略行為に対しても言を濁すような国際勢力が広がることは歓迎できない。中露はBRICSへの加盟を、南米、中東、アフリカなどのグローバルサウスと呼ばれる国々に促すことで、G7の影響が及びにくい国際関係を構築しようとしていることは明白だ。

特にロシアは昨年、ウクライナ侵略に対する制裁として世界の銀行決済網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除されており、プーチン氏はBRICSに「金融の脱米ドル」を求めた。ブラジルのルラ大統領も持論として「米ドルからの脱却」を訴え、共同通貨構想を展望している。この構想の実現は困難とみられているが、現地通貨決済を進めることでドルの影響から抜けることは、制裁の効果を削(そ)ぐことになろう。

中国は南シナ海や東シナ海で「力による現状変更」の試みに出ており、台湾に対して武力統一の脅しもかけ続けている。国内でも新疆ウイグル自治区でイスラム教徒であるウイグル族への人権弾圧を行い、国連人権高等弁務官事務所は深刻な人権状況を報告している。香港では民主派を弾圧している。

3カ国は節度ある対応を

人権侵害や国際秩序を破壊する行為を非難するG7と切り離して、独裁的な国の権益を擁護する中露のBRICS外交に、ブラジル、インド、南アフリカなど民主主義国は節度ある対応をすべきだ。

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