【社説】北の人権問題 拉致・核・ミサイルの解決を

国連安全保障理事会が、北朝鮮の人権状況を協議するため開催した公開会合では、日本人拉致被害者の即時帰国や、国民の福祉を犠牲にして進める核・ミサイル開発をやめるよう北朝鮮に求める声が相次いだ。拉致・核・ミサイル問題の包括的解決を目指す日本は、北朝鮮への圧力強化に向け、国際社会に対する働き掛けを進めるべきだ。

安保理が公開会合開催

オンラインで報告に当たったトゥルク国連人権高等弁務官は、日本人拉致問題について、関係者の高齢化に言及し「手遅れになる前に(解決に向けた)あらゆる努力が必須だ」と強調。また、北朝鮮が「国家の軍事機構と兵器製造能力を支える」ために、子供を含む国民に強制労働を課していると指摘した。

安保理は2014~17年、公開会合を開いてきたが、中露の反対を受け、近年は非公式協議にとどまっていた。約6年ぶりの開催は、北朝鮮の核・ミサイル、人権問題が深刻さを増していることの表れと言えよう。

トーマスグリーンフィールド米国連大使は「人権のない平和はあり得ない」と述べ、状況改善を要求。日米韓など52カ国と欧州連合(EU)は会合後、北朝鮮による人権侵害と兵器開発を「容認できない」と非難する共同声明を発表した。

北朝鮮の人権問題は、米国で開かれた日米韓首脳会談でも取り上げられた。「キャンプデービッド原則」では「拉致問題、抑留者問題および帰還していない捕虜の問題の即時解決を含め、人権・人道問題に取り組む」と宣言。さらに「われわれは北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントの下で団結している」と表明した。日本は拉致・核・ミサイル問題の包括的解決のため、米韓両国そして国際社会との連携を深める必要がある。

一方、中国とロシアは公開会合に不満を表明。中国は会合で「(開催に)反対の立場は明確だ」と演説。安保理では人権問題を扱うべきではないと語り、ロシアも「西側諸国の恥知らずな試み」と反発した。常任理事国の中露両国が、北朝鮮の「後ろ盾」として安保理の一致した行動を妨げることは許されない。

両国とも北朝鮮と同様に人権状況はよくない。中国では民主活動家や少数民族に対する弾圧のほか、反スパイ法が制定された14年以降、少なくとも17人の日本人が拘束された。今年7月には改正反スパイ法が施行され、これまで以上に恣意(しい)的な運用が懸念される。

ロシアでは反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏のように、政府に批判的な活動家や記者が毒物を盛られる例が後を絶たない。かつては元ロシア情報機関員が放射性物質で殺害された事件もある。強権的な中露朝3カ国が、対外的には軍事力で脅威を与え、国内では人権を軽んじていることに対し、西側諸国は抑止力強化と共に自由や民主主義など普遍的価値観の浸透に努めなければならない。

あらゆる圧力の強化を

米韓両軍は、朝鮮半島有事を想定した合同演習「乙支フリーダムシールド(自由の盾)」を開始した。日本と国際社会は、あらゆる形で北朝鮮に対する圧力を強めるべきだ。

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