2023年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は実質で前期比1・5%増、年率では6・0%増と、外需に牽引(けんいん)されて想定以上に高い成長率となったが、内需の柱である個人消費がマイナス成長に転落するなど決して喜べるものではない。
長引く物価高による節約志向の高まりが重しとなった格好で、これでは経済の好循環は覚束(おぼつか)ない。政府・日銀は物価高の克服に全力で取り組んでほしい。
外需頼み成長に不安材料
今回の高成長が喜べない理由は、中身の悪さである。
4~6月期は寄与度で見ると内需マイナス0・3%、外需1・8%と外需主導の成長で、その外需も輸出0・7%、輸入1・1%。輸出が前期比3・2%増と増えたが、それ以上に輸入が同4・3%減と減少し、成長率を押し上げたからである。
輸入の減少は内需の弱さの裏返しでもある。現に個人消費は自動車販売の回復や、新型コロナウイルスの感染症法上の「5類」移行に伴う、旅行・外食などのサービス消費回復という好条件があったにもかかわらず、前期比0・5%減と3期ぶりにマイナスに沈んでしまった。
個人消費の内訳を見ると、白物家電などの耐久財や食料品といった非耐久財の落ち込みが大きく、実質賃金の15カ月連続減少を受け、家計が節約志向を強めている状況がうかがえる。
内需のもう一つの柱で好調だった企業の設備投資も、そうした消費の状況を敏感に感じ取ったためか、0・03%増とほぼ横ばいにとどまってしまった。
もちろん、輸出の増加も成長に寄与した。半導体などの部品の供給制約が緩和されて自動車生産が増加したことや、サービス輸出に計上されるインバウンド(訪日客)の回復により、21年4~6月期以来の高い伸びになった。インバウンドは中国団体客の渡航が解禁されたことで、さらなる伸びも期待できよう。
ただ、その輸出も中央銀行の相次ぐ利上げによる米欧の景気減速や、不動産市況の低迷に伴う下振れリスクに直面する中国など、先行きには不透明さがあり、輸出頼みの成長には不安材料が少なくない。
自律的な内需主導の経済が求められる所以(ゆえん)だが、その実現に大きな重しとなっているのが、昨年から続く歴史的な物価高である。
今春闘では30年ぶりの高い賃上げ率となったが、物価上昇がそれを上回り、前述の通り、実質賃金は15カ月連続で前年同月割れが続く。政府には物価抑制策の継続と共に、高水準の賃上げが中小企業へ一段と広がり、24年以降も着実に実施できるよう税制面での支援など環境整備に万全を期してほしい。
金融政策の再修正検討を
日銀は先月下旬に、大規模緩和策の一部修正を決めたが、市場では当面金融引き締めなしと受け取られ、米国の根強いインフレから金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが再び進み始めた。
円相場は1㌦=146円台まで下落し、円安が一段と進行しやすい様相を示す。さらなる物価高を招きかねず、日銀には円安の進行を抑える再修正策の検討を望みたい。






