日中平和友好条約の締結から45年が経(た)った。中ソ対立の最中に結ばれた同条約の締結交渉では、ソ連を念頭に置いた「反覇権条項」をどう盛り込むかが最大の焦点となった。日本側にはソ連との関係を重視しこの条項に反対する意見もあったが、最終的には「第三国との関係に関する立場に影響を及ぼすものではない」という旨が追加され締結に至った。現在、国際社会では中国の覇権主義的な動きへの警戒感が強まっている。中国はいま一度この条項の精神に立ち返るべきだ。
軍事・経済的威圧強める
同条約第2条には「両締約国は、そのいずれも、アジア・太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明する」とある。
これに反して中国は近年、軍事的威圧を強めており、統一を目指す台湾周辺での大規模演習や、フィリピンなどと領有権を争う南シナ海の軍事拠点化などを行っている。日本との間でも、沖縄県石垣市の尖閣諸島について一方的に領有権を主張し、尖閣周辺海域における中国海警船の航行を常態化させ、領海侵入を繰り返している。昨年には接続水域で中国海警船が確認された日数が336日と過去最多を更新した。
軍事的威圧に加えて、経済力を背景に他国に圧力をかける「経済的威圧」も顕著になっている。国内に事実上の台湾の大使館が開設されたリトアニアや、新型コロナウイルスの発生源について調査を求めたオーストラリアに対し、両国産の食品などの輸入停止や制限といった報復措置を取った。
先進7カ国(G7)も警戒感を強めており、5月に開かれたG7広島サミットでは、経済安全保障に関する首脳声明を発表。中国による経済的威圧に対抗する新たな枠組みを設ける方針を打ち出した。
これらに加えて、中国では今年、反スパイ法が改正され、あいまいだと指摘されてきたスパイ行為の定義がさらに拡大された。2014年の制定以降、少なくとも17人の日本人の拘束が確認されており、今年3月には大手製薬会社の日本人駐在員を拘束。日本政府は早期解放を求めているが未(いま)だ実現していない。中国は豪州との関係が悪化してから同国籍のジャーナリストを明確な理由を伏せたまま3年にわたって拘束しており、今後、中国が「威圧」の一環として恣意(しい)的な運用を加速させる可能性は否定できない。
毅然とした態度で対峙を
中国政府は、約3年半ぶりに日本への団体旅行を解禁したと発表した。新型コロナの感染拡大以降止まっていた訪日客の流れが再開することになり、国内の観光地や旅行業界への影響は非常に大きい。日中間には貿易だけではなくインバウンドや民間交流でも強い結び付きがあり、その関係は切っても切れないものだ。両国は東アジアの大国としてアジア太平洋地域の平和と安定に貢献すべきで、日本は現在の中国に毅然(きぜん)とした態度で対峙(たいじ)する必要がある。






