【社説】安倍氏暗殺1年 “テロ容認”風潮を一掃せよ

安倍晋三元首相が、選挙遊説中に銃撃され命を落とすという衝撃的な事件から1年が経った。史上最長政権を担い、国際的な評価も高く、政界で大きな影響力を持っていた安倍氏を失った痛手は計り知れない。安倍氏への深い哀悼とテロへの断固たる反対を表明するものである。

常軌逸したマスコミ報道

事件発生時、岸田文雄首相をはじめ、政治家はそろって「民主主義への挑戦」を非難した。ところが山上徹也被告が、母親が入信している世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みから、同教団と深い関係にある安倍氏を襲撃したと供述したことで、旧統一教会への批判、教団と政治家との結び付きが焦点となった。

テレビのワイドショーをはじめマスコミの常軌を逸した旧統一教会叩(たた)きが始まり、政治家との関係では魔女狩り的報道へと過熱した。これを受け、自民党は旧統一教会との関係断絶を宣言するに至った。事件の全容も明らかにならない中での性急な対応と言わざるを得ない。

事件の発端が母親の高額献金問題であったことから、不当な寄付勧誘を禁止する被害者救済法が1月から施行された。教団側は、献金が信徒家庭の負担とならないよう改革を進めているというが、どれほど実効を挙げているか注視していきたい。

政府はまた教団の解散命令請求を視野に入れ、一夜で従来の法解釈を変えて初めて質問権を行使した。特定教団をターゲットにした前代未聞の措置は、信教の自由への侵害の疑いが極めて高い。海外の識者からも批判の声が上がっている。

マスコミ報道によって事件の本質が歪められたことの代償は大きい。反旧統一教会報道と山上被告への同情でテロ容認の風潮が日本を覆うようになった。反安倍勢力からは山上被告を英雄視する者まで現れた。島田雅彦法政大学教授は「暗殺が成功して良かった」とテロを肯定し、大学側も何の処分も行わないという異常な状況となっている。

このようなテロ容認の風潮の中、4月に岸田首相の暗殺未遂事件が起きた。木村隆二容疑者は黙秘を続けているが、手製とみられる爆弾を製造し、選挙遊説中の岸田首相に投げ付けるなど、山上被告の安倍氏暗殺を模倣したことは明らかだ。

安倍氏や岸田首相への襲撃で、治安当局はその警備体制の再構築が迫られている。しかしテロ容認の風潮を払拭(ふっしょく)しなければ、今後も「ローン・オフェンダー」によるテロが起き、日本の民主主義と治安を根底から揺るがしかねない。

日本の政治、社会に大きな影響を与えた安倍氏暗殺事件だが、その真相はなお闇の中にある。奈良県警は早々に山上被告の単独犯行の線で捜査を進め、検察も単独犯として起訴した。しかし事件では、救命治療に当たった医師と司法解剖を行った警察の所見が大きく異なる、致命弾が見つかっていないなど、不審点があまりに多い。

単独犯とするのは疑問

現場で不審な行動を取る人物も動画などで確認されている。山上被告の単独犯とするにはなお疑問点が多い。それらの検証なしに事件の全容解明はない。

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