衆院小選挙区「10増10減」による1票の格差是正を契機に、与野党6党で選挙制度の抜本的な検討を行う衆院選挙制度協議会が開かれている。現行の小選挙区比例代表並立制が導入されてから来年1月に30年を迎えるが、弊害があれば各党でも改革案をまとめ次期衆院選に向けて公約化するなど見直し論議も必要となろう。
議員数の格差が拡大
衆院への小選挙区比例代表制導入を柱とする政治改革関連法は、1994年1月に細川護熙政権で野党自民党との合意の下に制定された。協議会は当時の自民党総裁だった河野洋平氏、細川元首相から意見聴取を行い、河野氏は小選挙区と比例代表区との重複立候補について「国民に支持されているか」と疑問を呈し、細川氏は「穏健な多党制が日本の国民性に沿った政治体制だ」と制度の維持を主張したという。
与野党6党が衆院選挙制度に抜本的な検討を加えることになったのは、小選挙区「10増10減」による1票の格差是正で首都圏選出議員が増え、地方選出議員が減少する議員数の地方格差拡大という問題があるからだ。小選挙区は東京都で5増、神奈川県で2増、埼玉県、千葉県、愛知県で1増となる一方、宮城、福島、新潟、滋賀、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、長崎の10県で1減となる。
東京への一極集中是正、地方振興策や少子高齢化対策が長らく叫ばれながら、首都圏への人口集中と地方の過疎化が進むのは、選挙で選出された政治家にも責任がある。田中角栄首相の日本列島改造論、竹下登首相のふるさと創生、海部俊樹首相、宮沢喜一首相の下で有識者会議が検討した首都機能移転、今日の岸田文雄首相のデジタル田園都市国家構想まで歴代内閣でも一極集中是正策を掲げたが、成果が上がらない。
また、議員数の地域的な偏りは、富、社会資本、人口の偏りと相関関係にあると言えるだろう。小選挙区選出議員の選挙区での国政報告会では、とりわけ与党の議員は地元にどのような社会インフラを築いたかなど地域発展への貢献をアピールするのが常だ。
一方、小選挙区制度の導入は、中選挙区制度での自民党長期単独政権に「制度的金属疲労」の例えが語られるなど、政権交代を可能にすることを主眼にした議論を経て実現に至った。しかし、現在の自民党と他党が1強多弱と呼ばれる状況は想定していなかったことではないのか。これは細川氏の言う「穏健な多党制」と異なる「極端な多党制」だ。
野党の小党多党化は問題
無論、このような状況をもたらした最大の原因は民主党分裂にある。小選挙区比例代表並立制導入後、96年に初の衆院選が行われ、自民党に対抗し得る野党として民主党が頭角を現し、13年後の2009年には約3000万票を得て遂(つい)に政権交代を果たした。その後の内紛、下野後にも繰り返された分裂や党名変更により進んだ野党の小党多党化は問題が大きい。
理想的な選挙制度はなく、短所を伴うものであり、弊害が大きくなれば改革すべきである。






