こども家庭庁が、教員や保育士に性犯罪歴がないことを確認する制度「日本版DBS」の創設に向けた有識者会議の初会合を開いた。
子供を教育する立場の教員や保育士による性犯罪は、決してあってはならないことだ。被害根絶に向け、実効性ある制度とするよう求めたい。
教員らの性犯罪歴を確認
DBSは「ディスクロージャー・アンド・バーリング・サービス」(前歴開示および前歴者就業制限機構)の略で、英国などで導入されている。子供に関わる職業の人が就業先に提出するため、性犯罪歴がないことを証明する「無犯罪証明書」を発行する制度だ。
日本でも子供が安心して成長できる環境づくりの一環として、こども家庭庁などが創設に向けて検討を進めていた。学校や保育所などで働く人に、同様の証明書の提出を求める仕組みなどが想定されている。
わいせつ行為やセクハラで2021年度に懲戒や訓告などの処分を受けた公立の小中高校や特別支援学校などの教員は215人(前年度比14人増)で、9年連続で200人を上回った。このうち児童生徒に対する性犯罪や性暴力は93人(同3人減)に上った。しかし、こうした数字は「氷山の一角」と指摘されている。子供たちは被害を受けても性的な意味を理解できていないことが多い。
ただ子供のころの性被害が、その後の人生に与える影響は極めて深刻だ。被害者は被害を受けたことを深く恥じ、そのことが自己破壊的な行動や援助交際などの性行動、あるいはさまざまな心身の症状の原因となる。教員や保育士が子供を標的とする性犯罪は何としても根絶しなければならない。
小倉将信こども政策担当相は会合で「性犯罪は子供の人権を著しく侵害する行為で、断じて許されるものではない。(DBSは)子供たちの安全に関わる大事な制度だ」と述べた。早ければ秋の臨時国会にも関連法案を提出する。
子供を守る対策を巡っては、わいせつ行為で懲戒免職となった教員の免許再取得を教育委員会が拒否できる新法が21年に成立。22年に改正された別の法律には、子供にわいせつ行為をした保育士の資格管理厳格化が盛り込まれた。日本版DBSの導入を急ぎ、一層の対策強化を図る必要がある。
有識者会議では制度の創設に向け、職業選択の自由との兼ね合いなどを議論するという。このような議論は加害者の更生の観点から行われるのだろう。だが、性犯罪の中でも小児性犯罪の再犯率が特に高いことを忘れてはならない。
子供の安全を優先せよ
職業選択の自由を定める憲法22条には「公共の福祉に反しない限り」という文言がある。加害者の権利よりも弱者である子供たちの安全を守ることを優先すべきだ。
会合では、小学生の時に担任の教師から性暴力を受けたという女性が「保育や教育の現場に性犯罪者を入らせないようにしてほしい」と訴えた。被害者の切実な声を重く受け止める必要がある。






