トップオピニオン社説【社説】中国の核増強 抑止力強化へ三原則見直せ

【社説】中国の核増強 抑止力強化へ三原則見直せ

スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、米露英仏中にインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮を加えた9カ国の核弾頭総数が、2023年1月時点で推定1万2512発だったとする報告書を発表した。

特に中国の増加数が目立って多い。中国の脅威にさらされる日本としては要警戒だ。

習体制下でペース上がる

保有数は米露2カ国が全体の9割を占めるが、いずれも前年より減少。中国以外に増えたのはインドとパキスタン、北朝鮮で、それぞれの増加幅は4~5発程度だった。ところが中国は、60発増えて410発に上る。報告書は、中国が将来的に米露と同水準の核搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有すると予想した。

中国の核弾頭数は10年1月の時点では推計240発。ここから10年かかって300発台に達した。だが、その後3年で400発台まで増やしている。習近平体制の下、増強のペースが上がっていることが見て取れる。米国防総省は22年11月、中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書で、中国が35年までに約1500発の核弾頭を保有する可能性があると分析している。中国の核の脅威は高まる一方だ。

SIPRIの発表を受け、松野博一官房長官は「(中国は)保有核弾頭数を増加させるとともに、多様な運搬手段の開発、配備を行い、能力向上を継続しているとみられる」との見方を示した。ロシアによる核の脅しや北朝鮮の核・ミサイル開発の陰に隠れている印象だが、中国の核増強も安全保障上の深刻な課題だと捉える必要がある。

5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の首脳声明では、核兵器のない世界の実現に向けて「全ての者にとっての安全が損なわれない形で、現実的で、実践的な、責任あるアプローチを採る」としている。核を廃絶できればいいが、現時点では難しい。安全を守るために日本に求められるのは核抑止力の強化である。

サミットに合わせて行われた日米首脳会談では、米国の「核の傘」による拡大抑止が、日本と東アジアの安全保障に不可欠だと確認した。このこと自体は評価できるが、核の脅威増大に対してはより踏み込んだ措置を取るべきだ。

故安倍晋三元首相は生前、米国の核兵器受け入れ国が使用に際して意思決定に加わるニュークリア・シェアリング(核兵器の共有)について「議論していくことをタブー視してはならない」と述べた。これに対し、岸田文雄首相は「非核三原則を堅持するわが国の立場から認められない」としている。しかし、それで日本の安全を守ることができるのか。厳しさを増す日本周辺の安全保障環境を踏まえ、非核三原則の「持ち込ませず」を見直す必要がある。

日米韓連携で北に対応を

もちろん、核の脅威増大は中国に限らない。SIPRIによれば、北朝鮮は30発の核弾頭を保有し、50~70発の核兵器製造に十分な量の核分裂性物質を確保している。日米韓が連携して対応しなければならない。

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