通常国会が閉幕した。会期中に統一地方選挙、衆参補欠選挙、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)が行われる中、政府提出の60法案のうち58本が成立し岸田政権は無難に乗り切った。しかし、保守層に批判の強いLGBT理解増進法をわずかな審議で成立させた自民・公明連立の与党と、立憲民主党など無力な多弱野党の構図の長期化に問題ありとする意識は強まっている。
選挙では維新が躍進
会期が当初の通り150日で終わる国会が令和に入り連続しているが、万事政権ペースが長く続くことにも一種の閉塞(へいそく)感がある。まず野党側には多弱を解消する責任があると自覚し、奮起してほしい。
統一地方選挙、衆参補欠選挙を巡っては、多弱野党で立民が第1党となる構図に有権者がしびれを切らし、立民をパートナーに野党共闘を仕掛けてきた共産党が退潮し、日本維新の会・大阪維新の会の躍進が著しかった。その後の各世論調査の政党支持率では維新が立民を上回っている。これに動揺した公明が、東京都の衆院選挙区を巡り自民と対立した。高い法案成立率は、岸田政権に議席数が多いままだからにすぎず、支持基盤の各所に矛盾が生じている。
通常国会はロシアのウクライナ侵攻1年やゼレンスキー・ウクライナ大統領を招いた広島サミットと重なった。G7の安全保障上の結束を裏付ける防衛財源確保法の成立や、ロシアに起因する世界的なエネルギー資源高騰の中、原発運転期間60年を事実上超えることを可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が成立したことなど評価できる。
首相が記者会見でGX法に関連し、水素エネルギー、太陽電池などの開発に巨額の投資を強調したことは期待されるが、実現はまだ先だ。原油・天然ガス、穀物の高騰も深刻で、脱炭素に向け原発政策を見直したのは現実的だ。
だが、LGBT法を巡り巨大与党が、首相の言下にたやすく選挙公約にない立法行為をすることに危惧を抱かざるを得ない。昨年参院選の自民党公約から取り下げられたものが、手のひら返しに法案化され、わが国の実情に即した法律なのか、社会的混乱など弊害はないかなど徹底した審議や熟議もない。
背後の一つに“外圧”もある。米民主党リベラル派がオバマ政権時代に増長し、その流れを受けてバイデン政権下で駐日大使に赴任したエマニュエル氏は、SNSなどでわが国に対し同法制定を訴えた。
またネットを含む左派メディアや運動家、野党は、広島サミットを前に「G7で法整備されていないのは日本だけ」などと主張。公明党の同法支持表明もあり、首相は自民に法案成立を指示した。大手紙を含む保守メディアの反対には聞く耳を持たず、拙速に成立させている。
左傾化で汚点残した
自民は参院本会議で退席し採決に参加しなかった議員3人を処分したが、選挙公約と民意に基づくならば本末転倒である。自民は左傾化し、保守理念を軽く見ている印象を深め、汚点を残した国会と言えよう。







