トップオピニオン社説【社説】こども未来戦略 意識改革の中心は家庭の価値

【社説】こども未来戦略 意識改革の中心は家庭の価値

政府の少子化対策の具体方針を示す「こども未来戦略方針」が閣議決定された。岸田文雄首相は、若者や子育て世代への支援と共に社会の意識改革を訴えたが、肝心の結婚や家庭の価値の再建が抜けており、その実効性は不透明だ。

児童手当の対象拡大

岸田首相は、少子化は「先送りのできない待ったなしの課題」として「若年人口が急減する2030年代に入るまでが、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」と訴えた。政府は今後3年かけて年間3兆円台半ばの予算を確保し、「加速化プラン」として集中的に取り組む。

その加速化プランの理念として、首相は①若い世代の所得を増やす②社会全体の構造や意識を変える③全ての子供、子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援する――を掲げている。

その目玉の一つ、児童手当の拡充では、所得制限を廃止し、対象を高校生まで拡大。出産費用については、26年度をめどに保険適用を含めた支援のさらなる強化を検討するとしている。

岸田首相は会見で「未婚率の上昇、出生率低下の大きな要因は、若い世代の所得の問題だ。若者、子育て世代の所得を伸ばし、若い世代の誰もが結婚や子供を産み育てたいとの希望がかなうよう、将来に明るい希望を持てる社会をつくらない限り、少子化トレンドを反転することはできない」と述べた。

少子化対策の肝はここにある。結婚を希望する若い世代の所得増を図ることは、今後、未婚率の低下や出生率の増加に繋(つな)がることが期待される。「経済成長と少子化対策を車の両輪とする」という基本方針も、この観点から納得できる。

ただ一方で、若い世代の中には、結婚や子供を持つことを望まない人々も増えているという問題がある。

岸田首相は、少子化はこれまでのわが国の社会構造や人々の意識に根差した要因が関わっているとして「社会全体の構造や意識を変える」必要を訴えた。具体的には男女共に気兼ねなく育休が取れるようにするなど、職場文化を変えることを挙げている。育休取得率目標を大幅に引き上げ、実現を後押しする。

確かに、女性の職場進出など社会の変化に意識の変化が追い付いていない現状を変えることは必要だ。しかし一方で、家庭や結婚に対する考え方の多様性がもてはやされ、伝統的な結婚観や家庭観の衰退していることが、未婚率の上昇や出生数の低下につながっていることは紛れもない事実である。

伝統的な家庭観の再建を

伝統的な家庭観の再建こそ、意識改革の中心とすべきである。それを土台として時代に適合させていくことが少子化対策の進むべき道である。

岸田首相は「子供、子育てに優しい社会」への意識改革を訴えるが、かつての日本社会は、大人たちが町内の子供たちのことを気にかけ面倒を見るという気風があった。それらの大人は地域の繋がりの中、伝統的な家庭観の延長で、他人の子供にも心を配ったことを思い起こすべきである。

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