【社説】日米韓首脳会談 一層の安保協力体制強化を

左からバイデン米大統領、岸田文雄首相、韓国の尹錫悦大統領=5月21日、(UPI)

日米韓3カ国の首脳が先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に合わせ首脳会談を開き、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応などで連携を密にしていくことを確認した。昨年11月のカンボジアでの会談から半年が経過したが、その間、3カ国の関係は大きく変化した。

台湾有事は朝鮮半島有事

元徴用工問題などで対立が続いた日韓関係は、3月に韓国の尹錫悦大統領が解決策を発表し、訪日して岸田文雄首相と関係正常化で合意。シャトル外交も復活し、5月には岸田首相が訪韓して改善に向かった。

一方、北朝鮮との融和や中国との関係を重視する文在寅前政権の誕生で浮流していた米韓関係も、尹政権が親米へと外交方針を転換させたことで活性化した。尹氏は4月に訪米し、バイデン大統領との会談で「ワシントン宣言」が発表され、米国の核の傘を中心とする拡大抑止の機能強化の方針が打ち出された。

かように、今回は日韓の関係改善と米韓の連携強化が共に進み、3カ国による安全保障協力の体制が大きく前進する中での会談となった。バイデン氏は、関係改善に向けた岸田首相と尹氏の取り組みを高く評価し、日韓両首脳を招待し米国での会談開催を提案した。招待を明らかにしたのは、3カ国の緊密さを北朝鮮や中国にアピールするとともに、改善が図られた協力関係を維持していきたいとの米国の強い思いを日韓両国に伝える意図もあったと思われる。

前回の首脳会談で、北朝鮮の弾道ミサイルを探知・追尾する日韓両国のレーダーシステムを米国経由で連結し、ミサイル関連情報を「リアルタイム(即時)で共有する」方針が示された。今回は作業の推進で一致。6月初旬シンガポールで開催予定の日米韓防衛相会談での大筋合意を目指している。日本の弾道ミサイル迎撃能力の強化に繋(つな)がる重要な取り組みであり、早期の運用開始を期待したい。

今回の会談では、インド太平洋戦略に関し、3カ国の連携を“新たな段階”に引き上げる議論も行われた。米国は、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮や覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、連携をさらに強化させたいと考えている。日米の間でも米韓と同様、拡大抑止強化、さらには核の共有についても議論を進めていくべきだ。

また韓国のクアッド参加や、日米韓に台湾を加えた拡大安保協力の枠組みを検討する必要もある。台湾有事の場合、在韓米軍の関与を阻むため中国が北朝鮮に働き掛け、朝鮮半島で緊張を高める動きに出る事態も想定されるからだ。台湾有事は日本有事であると同時に朝鮮半島有事ともなるのだ。

レーダー問題で誠意示せ

ただし、日韓の間には問題が残されている。2018年に海上自衛隊機が韓国海軍艦艇から火器管制レーダーを照射された事件が未解決のままだ。不測の事態を招きかねない危険な行為で日本側は再発防止を求めているが、韓国側は事実関係を否定し、謝罪にも応じていない。日韓の防衛協力を真に強固なものとなすには、この問題を早急に解決しなければならない。韓国側に誠意ある対応を求めたい。

spot_img
Google Translate »