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【社説】LGBT法案 自民党は国会提出を考え直せ

自民党がLGBT理解増進法案をG7広島サミット前に国会に提出する方針だ。法案は社会の性秩序を乱し、女性や子供を危険にさらすことが強く懸念される。党執行部は提出を考え直すべきだ。

バイデン米政権の圧力も

2年前にまとまった超党派案を、党で修正。「性自認」「差別は許されない」の文言を、それぞれ「性同一性」「不当な差別はあってはならない」に書き換えた。それでも先週の合同会議では、反対意見が賛成を上回ったと伝えられる。にもかかわらず、部会長に対応が一任されて実質了承になったのは、岸田文雄首相がG7の議長国としての体面からサミット前の国会提出に拘(こだわ)っているからだ。国の将来と首相のメンツのどちらを優先すべきかは言うまでもない。

性自認の文言については、体は男性だが「女性」を自認する「トランス女性」による風呂や公衆トイレなどの女性スペース使用を阻止できなくなるとの反発の声が上がっていた。海外では自称「トランス女性」による性犯罪が発生している。女性が不安を持つのは当然であり、それが変更につながった。

だが、性自認と性同一性は実質同じだ。共に英語の「ジェンダー・アイデンティティー」の和訳だからだ。実際、超党派案をまとめた稲田朋美元防衛相は、二つの文言の定義は同じだと説明している。さらに、不当でない差別などあるはずがない。文言変更は超党派案を後退させたイメージをつくり、反発する保守派議員を懐柔しようというのだろう。しかし、執行部への批判は収まらない。女性人権団体も「日本社会の混乱を生む」と緊急の訴えを発表した。

超党派案からは「学校の設置者の努力」という文言も削除された。小さい時から、同性愛やトランスジェンダーを含めたLGBT思想を教え込めば、性道徳や自己の性についての揺らぎが起き、また家庭の価値観との矛盾に苦しむ子供が出る懸念も指摘される。

現段階でも、教育現場ではLGBT活動家の働き掛けなどで小学校6年生にドラッグクイーン(女装パフォーマー)や同性愛者を招いた授業が行われている。前出の文言が削除されても、法案成立は過激なLGBT教育の推進材料になるだろう。

自民党執行部が同法案を強引に国会に提出しようとしているのは米国のバイデン政権からの圧力もあるようだ。エマニュエル駐日大使は昨年から、公式ツイッターで日本にLGBT法制化を求めるメッセージを発表。4月末には、大使自身がLGBTパレードに参加した上、今月12日にも広島サミット参加国の大使らと共に動画をアップ、法案成立を後押しした。

 既存の法律で対応可能

確かに日本を除くサミット参加国は、同性婚の法制化など当事者の権利拡大に積極的だ。宗教的理由から同性愛者などを差別してきた歴史を持つからだ。しかし、これらの国では、社会の分裂に苦しみ、LGBT運動激化への危機意識が高まっている。他国ほどの差別がない日本では、男女雇用機会均等法、労働基準法など既存の法律でLGBT問題に対応できるのである。

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