【社説】憲法記念日 国会は改憲へ責任果たせ

76回目の憲法記念日を迎えた。戦後占領期に連合国軍総司令部(GHQ)の主導で制定された現行憲法は、この間一言一句変わらずわが国の最高法規であり続けている。国内の社会情勢や国際的な安全保障環境は激変し、独立主権国家として生き残りをかけた重大な時期を迎えながら、国防や緊急事態に関する根本規定を欠いたままであることは政治の怠慢と言わざるを得ない。国会は衆参両院の憲法審査会の議論を活性化し、憲法改正原案を作って国民に問うという本来の責任を果たすべきだ。

「有事」の規定が不可欠

現在、憲法改正に前向きな「改憲勢力」は、衆参ともに改正発議に必要な議員定数の3分の2を超えている。自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党などの「改憲勢力」は憲法審査会の議論に拍車を掛けつつある。しかし、野党第1党の立憲民主党はいまだに「論憲」を掲げる一方で、衆院憲法審の毎週論議を「サルのやること」と嘯(うそぶ)く議員を擁護するような風潮すらあり、共産、社民の両党は改正議論まで否定するありさまだ。

今国会の憲法審では緊急事態における国会議員の任期延長に関する議論が進みつつある。しかし、緊急事態には自然災害や感染症の蔓延(まんえん)ほかにも、外国からの武力攻撃や国内における内乱・テロなども除外できない。あらゆる「有事」を念頭に置いた規定は必要不可欠であり、憲法9条の改正や緊急事態条項の創設といった根本的な改正から目をそらすべきではない。

日本周辺の国際情勢に目を向けると、中国が覇権主義を強め、台湾有事の危険が高まっている。昨年10月の中国共産党大会で、習近平国家主席(党総書記)は台湾統一への意欲を改めて示し、武力行使の選択肢を放棄しないと強調した。北朝鮮は核・ミサイル開発を加速させており、4月には北朝鮮が発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)が、戦後初めてわが国の領域内に落下するおそれがあるとして一時、全国瞬時警報システム(Jアラート)が発令された。

戦後、日本は大規模災害が発生するたびに法律を制定し、軽微な緊急事態に対処してきた。しかし近年は東日本大震災をはじめ、3年以上にわたって猛威を振るう新型コロナウイルスなど想定を超える災害に直面しているだけでなく、今後、発生リスクが極めて高く、特に被害が大きくなると予想される首都直下地震や南海トラフ地震といった大規模災害への備えも怠ることはできない。いずれの「有事」でも国家の主権、国民の安寧を守り抜く体制をつくることが改正の主眼となるべきだ。

政治家は機運醸成を

改憲について「機運が高まっていない」との見方もある。将来的に危機に陥る恐れがあるのなら、それを解消すべく機運を醸成するのが政治家の役目ではないだろうか。

岸田文雄首相は2021年9月の党総裁選で、憲法改正について「総裁任期中に実現を目指す」と明言している。新型コロナウイルスの感染症法上の分類「5類」引き下げを控え、コロナ対策が一定の区切りを迎える今、改めて憲法改正に向き合う必要がある。

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