トップオピニオン社説【社説】統一選後半戦 当選者と有権者繋ぐ自治体を

【社説】統一選後半戦 当選者と有権者繋ぐ自治体を

第20回統一地方選挙の後半戦となる市区町村長・議会議員選挙の投開票が行われた。

住民の生活に最も近い自治体の選挙であり、遊説カーや候補者本人の呼び掛けが裏通りの家並みにまでこだまする選挙戦の投票結果が表れる一方、無投票、議会での定員割れなど寂しい状況もある。有権者にとって身近な政治への参加が民主主義の基盤となるだけに課題を残す一面もある。

無投票当選が相次ぐ

後半戦で注目された県庁所在地の市長選では現職多選の傾向が目立った。水戸市長選で高橋靖氏が4回目の当選、12年ぶりの選挙となった津市長選で前葉泰幸氏が4回目の当選、高松市長選で大西秀人氏が5回目の当選を果たすなどだ。10年以上も変わらぬ市政にあって現職優位は崩し難いと言える。

一方、東京・北区長選では5期務めた88歳の現職区長に3人の新人女性候補が挑んで注目された。高齢多選批判により新人で自民前都議の山田加奈子氏が接戦を制した。また、兵庫県芦屋市長選では1期現職の女性市長に3人の新人が挑んだが、市長選で最年少となる26歳の新人、高島崚輔氏が当選した。

世論が動くところに有権者は変化をもたらすと言えるだろう。高齢批判や女性新人の挑戦、最年少当選の如何など話題性のある選挙はメディアが取り上げ、有権者の関心も増し加わる。

 だが首長選で現職優位で無風選挙となる自治体にも、実際には多くの行政課題がある。有権者の問題意識向上につなげる地方メディアの在り方や、現職へのチャレンジャーの努力が問われている。市や区はある程度の人口を持ち、政治的に有為な人材は潜在しているはずだが、挑戦者が出にくい。

後半戦の100市区長選のうち東京都中央区、群馬県高崎市など26市区長選で対抗する立候補者がなく、無投票となった。また市区議選でも14市議選が無投票となっている。選挙がなければ有権者によるチェックも働き得ない。

都市部の市区と違って、人口そのものが減じて、高齢化が進む地方の過疎化問題はさらに深刻だ。町村によっては地方自治を維持できるかの瀬戸際の状況もある。

総務省の発表では、後半戦で行われた125町村長選と373町村議選のうち、70町村で町村長選に対抗馬が出ない無投票選挙となり、町村議選では無投票当選者数の割合が30・3%と過去最高になったという。20町村では議会選の候補者が定数より少ない定員割れとなった。人手不足により町村の民主主義が崩壊に瀕(ひん)しているのは、放置できない問題だ。

地元の政治に関わる機会でありながら、関心が薄くなりがちな市区町村議会選挙だが、無縁社会が広がる現代に当選した議員たちから積極的に地元有権者に語り掛け、暮らしや人権、教育など何を自治体行政に求めているのかを聴取してほしい。

選挙活性化で健全発展を

統一地方選で考えるべきは、選挙の活性化だ。民主主義の健全な発展に向けて、当選者が有権者とつながる地方自治体づくりがますます重要だ。

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