トップオピニオン社説【社説】衆参5補選 国難への対処策競い審判仰げ

【社説】衆参5補選 国難への対処策競い審判仰げ

四つの衆院補欠選挙が告示された。参院大分補選、統一地方選後半戦とともに23日に投開票される。とりわけ国政選挙である衆参5補選の勝敗は、岸田文雄首相の政権運営の中間評価としての意味があるとともに、終盤国会での求心力に直結し、衆院解散戦略にも影響する。

厳しい戦い続く自民

自民は、統一地方選前半戦で支持層の重なる日本維新の会の伸長を許すなど厳しい戦いを強いられた。後半戦は「気を引き締め対応する」と危機感を募らす岸田首相だが、少子化問題や安全保障・対中国などの外交問題、憲法改正、物価高など直面している国家の難題にどう対処するかの策を競い、有権者の審判を仰ぐべきである。

今回実施される衆院補選は、千葉5区、和歌山1区、山口2、4区。参院大分と合わせて自民は全勝を目標にしている。千葉5区は自民を離党した前職が、政治資金規正法違反により辞職したことに伴うもの。立憲民主、維新、国民民主、共産などが候補を擁立したため野党票が分散する。与党側に有利になるとの見方もあるが、自民にお灸をすえるという厳しい戦いに変わりはない。

和歌山1区は、岸本周平元衆院議員が和歌山県知事に転身して行われるものだ。国民民主を離党した岸本氏を自民が知事選で推薦し、岸本氏が長年、小選挙区でライバルだった自民候補の応援に回ることになった。ところが、自民の地元実力者の「勢力争い」のしこりが残る中、維新の現職女性市議が参戦。維新は、大阪、奈良の知事選や大阪市長選、市議選で勝利するなど勢いを増し、自民候補を激しく追い上げている。

大分は、野党系無所属の参院議員が県知事選に立候補するため辞職した選挙区。知事選は自民系候補が制したが、今回の補選の野党候補は、かつて社民党党首を務めた吉田忠智氏。公募で選ばれた自民候補との与野党対決は厳しさを増している。

他方、岸信夫前防衛相が体調不良のため衆院議員を辞職して行われる山口2区と安倍晋三元首相が銃撃され死去したことにより実施される同4区は自民候補がリードしている。ただ、立民の泉健太代表が「勝ちたい」と語る4区に立民から元参院議員の有田芳生氏が「戦後最長となった安倍政権の検証」を掲げて出馬。旧統一教会問題や拉致問題を訴えるが「敗北前提の売名行為の域を出ない」との指摘もある。

「安倍政治の継承者」をアピールする元下関市議で若手の吉田真次氏には、志半ばで倒れた安倍氏の改憲への思いを凌ぐ意気込みを示してもらいたい。次期衆院選で山口の小選挙区数が1減することにより、候補者調整が新たな課題に浮上するが、今は挙党態勢で臨むべきだ。

正念場を迎える首相

2年前の4月に行われた衆院北海道2区と参院長野選挙区の両補欠選挙と参院広島選挙区の再選挙で、当時の菅義偉首相は全敗し、求心力を失い解散に踏み切れずに退陣した。

外交成果などで支持率を回復しつつある岸田首相だが、5補選が追い風となるのか否か、正念場を迎えている。

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