【社説】ベラルーシに核 露は国外配備で緊張高めるな

ロシアのプーチン大統領が、同盟国ベラルーシに戦術核兵器を配備することでルカシェンコ政権と合意した。ウクライナ侵略を続ける中、国外への核配備で地域の緊張が一段と高まることが懸念される。

地上発射型ミサイルシステム「イスカンデル」=2018年8月、モスクワ近郊アラビノ(EPA時事)

7月に保管庫が完成

プーチン氏が言及した運搬手段はベラルーシ空軍機と地上発射型ミサイルシステム「イスカンデル」。国営テレビのインタビューで「4月3日から訓練に入り、7月1日にベラルーシ領に戦術核専用の保管庫が完成する」と予告した。ベラルーシは昨年2月に憲法を改正し、ロシア軍の核配備を可能にした。核は配備後もロシアが管理する。

ベラルーシは、ポーランドやリトアニアといった北大西洋条約機構(NATO)加盟国とにらみ合う位置にある。プーチン政権は既に、隣接するロシアの飛び地カリーニングラード州にも核搭載可能なミサイルを配備しているとされ、核の威嚇を一段と強めた形だ。

これに対し、ウクライナは国連安全保障理事会の緊急会合開催を要求。欧州連合(EU)やNATOも一斉に反発した。国際社会が一致してベラルーシへの核配備方針を撤回するようロシアに強く求めるべきだ。

昨年2月のウクライナ侵略開始以来、プーチン氏は核使用の脅しを繰り返してきた。ロシア軍はウクライナの原発を攻撃し、南部ザポロジエ原発を占拠している。国際法違反の侵略を強行した上、大惨事を引き起こす核使用も辞さないとの態度は深く憂慮せざるを得ない。

ウクライナでは、東部ドネツク州の激戦地バフムトでロシア軍の攻撃の勢いが失速しているとの見方も出ている。プーチン氏がこの時期にベラルーシへの核配備を表明したのは、ウクライナ軍の大規模反攻に対する強い危機感を示すものであり、軍事支援を行う欧米を牽制(けんせい)する狙いだろう。焦りが浮き彫りになったとも言える。

プーチン氏は、英国によるウクライナへの「劣化ウラン弾」の供与表明を口実に核配備を正当化している。核と同一視して「対応せざるを得ない」と強調した。

劣化ウランは放射性廃棄物で弾薬に使えば破壊力が増す。ただ放射能は天然ウランより大幅に低く、国連は核や化学兵器などの法的定義に該当しないとしている。ロシアを含む多くの国が配備しており、これを理由にベラルーシに核を配備するとの説明は説得力を持たない。

米政府は、プーチン氏にウクライナで核を使う兆候は見られないとして、戦略抑止態勢を変更する必要はないとしている。ただウクライナでの戦況が好転せず、プーチン氏が追い詰められた場合、核を使用するとの見方も出ている。こうした場合への備えも求められよう。

 日米欧は協力して対応を

ベラルーシへの核配備方針について、EUのボレル外交安全保障上級代表(外相)はツイッターで「EUは追加制裁で応じる用意がある」と述べ、ベラルーシの態度次第では制裁強化に踏み切る考えを示した。

日米欧は協力してロシアとベラルーシの身勝手な行動に対応する必要がある。

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